第14話 ベルン

 目的地であったアバール砂漠がある街〈ベルン〉へと着いたラティアとディークは、夜ご飯を済ませる為に良さげなお店に入ることに。

 店内に入るとラティアとディークは女性の店員に空いている席へと案内される。


「ご注文決まりましたら、お呼び下さい。ごゆっくりどうぞ」


 若い女性店員はそう告げて、立ち去って行く。ラティアとディークは席に着き、店員の背を見送った後、机の上に置かれていたメニュー表を手に取り、口を開く。


「どれも美味しそうね」

「そうですね」



 夕食を済ませたラティアとディークは、お店を出て、アバール砂漠へと向かう為、夜の空の下、ベルンの街並みを横目に歩き始める。

 互いに無言のまま歩くラティアとディーク。しかし、無言に耐えかねたラティアは隣を歩くディークに話し掛ける。


「ディーク、貴方はどうして宝石病の研究を始めたの?」

「小さい頃、母親が宝石の病に侵されて、亡くなったんです。俺は病に侵されて命を落としてしまう人を、一人でも多く救いたい。そう思って、宝石の病を研究を始めたんです」


ディークは母親のことを思い出しながら、ラティアにそう伝え終わると、隣を歩くラティアの方を見て優しく笑う。


「俺はラティア王女、貴方の病を絶対に治してみせます」


 ディークの強い芯のある声に、ラティアは感謝の気持ちを込めて、ありがとうと礼を返した。

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