卓球部をやめゆく人たち

狼男

第1話 卓球の思い出

 俺は、卓球に思い出があるかといったらわからない。市大会の新人戦でダブルス3位、総体で準優勝したから十分なのかもしれない。ちなみにダブルスのパートナーとは他県の高校に進学したらしい。

 今は、高校生で卓球部に入った。そこから、1年間続けた。冬は蕁麻疹と戦いながら卓球をした。


 夏の部内戦で負けまくった。団体戦のメンバー入りは絶望だ。この時、俺は辞めることを決意した。


卓球をやっていても上達する気がしない。練習していても時間が無為に流れていくようにしか感じない。フットワークも苦手だ。

一回だけ、強豪校が参加していなかった大会でシングルスでベスト8に入ったことがある。景品で卓球ソックスをもらった。そのときは心底喜んだ。

それも過去の栄光になってしまった。

部内戦で負けたという。しかも、普段の実力なら勝っているであろう相手にだ。

吐き気も卓球中におそいかかってきた。

 退部届けを書いて顧問に提出した。その次の日から、部活に行かなくなった。

その2週間後、別の子が退部した。理由はよくわからない。

その子はあんまり卓球が好きではなかったらしい。

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