第29話 同接勝負します?
「勝負ぅ?」←くりばいたる一同
「そうよ!」
つばさは胸を張って言い放った。
「そう、同時に配信して、瞬間同時接続の多いほうが勝ち!」
「そんなの誰が受けるか」
光は冷たく鋭い声で言い放った。
「え?」
つばさの目は丸くなった。
「だって、受ける意味もないし、勝ち目もないもん、ね?みんな」
「まぁ。確かに」
「同意かもしれん」
「そうだね」
「うん」
くりばいたるのVtuber全員が光の考えに『賛成』の意を示した。その状況につばさ、そして、何故か和俊さんも驚いていた。
「くりばいたるのやつら……。こんなに勝負に意欲的じゃないなんて……」
「正直、僕もこんな熱い展開をみんなが断るなんて、ショックだよ……」
二人はなんかすごくしょげている。
和俊さんはおもちゃを買ってもらえなかった子供みたいな表情をしている。
「和俊さん、もういいおっさんなんですからそんな顔してしょげないでください」
「おっさん言うな!」
*****
「じゃあ、私はなにしにきたのよ……」
つばさはさっきからずーっと下を俯いている。
「あれ、ジェネリックバーチャルリアリティーの本社ってどこにあるんだったっけ?」
「うーん……。確か東京のはず」
「おお!天下の東京ですか?!」
つばさのことはとりあえずほっといて、聖川と光はジェネリックバーチャルリアリティーの話題に移っていた。
カンカン
出入口からノックの音がした。
「ん?誰か来たのかな?」
「げっ……」
つばさの顔が青ざめた。
『すみません~!こちら、ジェネリックバーチャルリアリティーの者なんですけど、うちのあほVが来てると思うんですけど、失礼していいっすか?』
「どうぞ~」
和俊さんが即答した。
どうやら、その反応から見るに、結構、嫌々していたらしい。
『じゃあ!失礼しま~す!』
ドアは勢いよく開かれた。
そして、二人の女性が事務所の中に入って来た。
「早くない?」
「Vtuberの人たちに迷惑をかける前にと思ってね……。けど……」
入って来た女性はくりばいたる全体の様子を見るなり答えた。
「もう遅かったみたいだね……」
「そうね」
「よし、じゃあ、いくよ!」
一人の女性がつばさを持ち上げた。
「あ~!もう!おい!くりばいたるの連中!また来るからな!首洗って待ってろ!」
「もう、大阪まで行くの勘弁だって!」
ジェネリックバーチャルリアリティーの三人は騒がしく事務所を去っていった。そして帰り際に……。
「くりばいたるの皆さん失礼しましたぁ!また、コラボでもしましょ!」
と言って去っていった。
「一体何だったんだろう……」
*****
後日、ある一通のメールがくりばいたるに届いた。
その内容は………………。
『くりばいたるとジェネリックバーチャルリアリティーでの一週間コラボ配信期間』
その報告を和俊さんに聞いたときは驚いた。
いや、それはもうすごく。
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