高額アイテム大量ゲット

 首のない騎士が、大剣を振りかぶった。

 俺は飛び退く。

 次の瞬間その大剣が凄まじい力と共に振り下ろされ地面へと激突し、地面を砕いた。


「く……ッ!」


 砕かれた破片が飛び散り、俺の頬を掠っていく。

 近づかれる前に俺は神王鍵を振るう。

 するとデュラハンが真っ二つに両断された。

 胴を両断されたデュラハンは塵となって消滅していく。

 決着がついたことを示すリザルト画面が表示された。


『おめでとうございます! あなたは55レベルにレベルアップしました!』


 同時にレベルアップを告げるウインドウが表示される。


「やっとレベルアップか……」


 俺は息を吐く。

 あれから、俺は九体のモンスターを狩った。

 どれも高レベルの強いモンスターだったが、ドラゴン以上のモンスターは出てこなかった。

 そのどれも俺は一撃で屠り、魔石と素材、経験値を手に入れた。

 戦果は、レッドドラゴン一体、ダークグリフォン三体、ハイ・ガーゴイル一体、ミスリルゴーレム一体、デュラハン三体だ。

 ドロップ品はこんな感じだ。


──────

 ドロップ品:


 《レッドドラゴンの魔石》×1 

 《レッドドラゴンの角》×1 

 《ダークグリフォンの魔石》×3

 《ダークグリフォンの羽》×2

 《ダークグリフォンの爪》×1

 《ハイ・ガーゴイルの魔石》×1

 《ハイ・ガーゴイルの魔眼》×1

 《ミスリルゴーレムの魔石》×1

 《ゴーレムの心臓(S)》×1

 《デュラハンの魔石》×3

 《デュラハンの兜》×1

 《デュラハンの手甲》×1

 《怨嗟の大剣》×1

 《死を嘆く腕輪》×1

──────


 怨嗟の大剣と死を嘆く腕輪はどうやら俺も装備することができるらしい。


「えー、どれどれ」


 俺は怨嗟の大剣と死を嘆く腕輪を取り出してみる。


「うわっ、重。今の俺のステータスじゃ振れないか」



 《怨嗟の大剣》

 ランク:C

 能力:使用者が魔力を込めるほどステータスが強化される。死霊系の敵に対して攻撃力補正1.2倍。



「これは……俺にはいらないな」


 剣に関してはもうすでに最強の剣を持ってるのでこれ以上は必要なさそうだ。

 次は死を嘆く腕輪を見てみる。



 《死を嘆く腕輪》

 ランク:C

 能力:装備者の魔力が減るごとにステータスの攻撃力を強化する。デメリットとして装備者に常時呪い状態を付与。



「これも……使えないか」


 能力の魔力を消費するごとにステータスを強化する、というのは非常に有用だが、デメリットがデカすぎる。

 将来的には呪い状態を克服することができるかもしれないが、少なくとも今の俺には使えない。


「はぁ……とりあえずボックスに放り込んどこ」


 俺はため息をついて怨嗟の大剣と死を嘆く腕輪をアイテムボックスに放り込む。

 ドロップ品を眺めていると、岩の破片が飛んできて掠った傷が、少しずつ塞がれていく。

 これは俺がつけている【治癒の指輪】の効果だ。

 俺は現在、合計十個の指輪をつけている。

 指輪の効果などを紹介すると、


──────

 【箱の指輪】:無限にアイテムを収納することができる指輪。

 【沼の指輪】:魔力を貯蓄することができる指輪。

 【戦士の指輪】:ステータスの攻撃力を二倍にする指輪。

 【守護の指輪】:ステータスの防御力を二倍にする指輪。

 【活力の指輪】:ステータスの持久力を二倍にする指輪。

 【速度の指輪】:ステータスの敏捷力を二倍にする指輪。

 【治癒の指輪】:つけている限り、装備者を常時少量回復し続ける指輪。

 【具現の指輪】:ドロップ率を上げる指輪。

 【地図の指輪】:ダンジョンのマップを確認できる指輪。

 【知識の指輪】:目の前のアイテムについて知ることができる指輪。

──────


 と、こんな感じだ。


 どの指輪も破格の効果だ。


 まず、ステータスを倍加する指輪だが、日本で売れば確実にB以上のランクと価格が付けられる。

 俺の元のステータスが上がっていけば、確実に強くなれる。


 次に地図と知識の指輪。これは地味に役に立っている。

 地図の指輪は現在位置も示されので迷う心配がなく、知識の指輪ではドロップ品について調べる必要がない、というのはかなり便利だ。


 具現の指輪に至ってはどの程度ドロップ率が上がっているのかは分からないが、今まで倒した全てのモンスターからドロップ品が出ているので、効果はあるのだろう。


 そして治癒の指輪は、これこそ綾姫に持たせたかったが、この指輪は神王鍵の所有者である俺にしか使用できないのが残念だ。


「これ以上は狩れないか……」


 マップとアイテムボックスを開きながら俺は呟く。

 すでに神王鍵の『運命切断』は九回放った。

 あと二回しか放てない計算になる。

 帰りでモンスターに遭遇することと、他のダンジョンへもいくことを考えればもう『運命切断』は使えない。


「けど、全然足りない……」


 俺は拳を握りしめる。

 今回の狩りでは、たしかに大量の魔石や素材を手に入れた。


 しかし圧倒的に金額が足りない。


 1000億円を一年で稼ごうとすると、一日2.7億円以上稼がなければならない。

 時間的な余裕を持たせたいので、目標額は3億円。


 だが、今回の狩りで得た全ての素材やアイテムを売り払ったとしても総額は五千万円ほど。


 全く目標金額に到達していないのだ。

 理由は明白。

 俺の魔力が全く足りていない。


 俺のステータスで運命切断を放つことができるのは11回。

 そしてこのダンジョンだと運命切断なしでは、俺はモンスターに歯が立たない。

 つまり、11回モンスターと遭遇したら、その時点でもう俺に戦闘能力は皆無となり、引き返さなければならなくなるのだ。


 加えて、ここがダンジョンの上層だからだろうが、モンスターがまだ弱い。

 Cランクモンスターであるデュラハンや、ハイ・ガーゴイルとまで遭遇する始末。

 稼ぐためには、俺はもっとこのダンジョンの奥まで潜らなければならない。

 加えてモンスターの分布を考えると、俺は上層で狩りをしなければ目標金額に到達できないだろう。


 解決策は二つ。

 一つ目、俺自身が力をつけて上層、中層を『運命切断』を用いずに突破できるようになること。

 二つ目、使用できる魔力を増やすこと。もしくは外付けで魔力を補給できる手段を手に入れること。

 この二つだ。


「俺自身が力をつけるのは……期待できない。そもそもステータスの伸びが悪いからな」


 どれだけ鍛錬しようと、この全く伸びていないステータスでは焼け石に水だろう。

 もちろんレベルを上げて全体の底上げすることも諦めないが、高レベルモンスターを倒せる手段が運命切断しかない限り、この魔力不足という問題を解決するには至らないだろう。


 つまり、俺が取るべき解決策は二つ目。

 使用できる魔力量を増やすことだ。

 俺たち冒険者にとっての使用魔力量を増やす手段は俺が知る限り三つ。


 一つ目、ステータスを上げること。これは他の手段と並行できるので除外する。

 二つ目、魔力を回復する薬を使用する。

 三つ目、アクセサリーや装備の効果で魔力量を増やす。


 そこで俺はさっき見たここのダンジョンについて思い出した。


「確か、森林ダンジョンがあったよな……」


 様々な植物が生えているダンジョン。

 もしかしたら魔力を回復する薬草が生えているかもしれない。

 運命切断はあと二回しか使えないが、魔力を回復する薬草程度は低層にも生えているはずだ。


「よし、とりあえず一旦帰って森林ダンジョンに潜るか……」


 俺はそう呟いて、出口へと戻っていった。

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