嘘つき少女(1)

2期生としても順調なスタートを切れたと思う。

2期生のグループラインでも、盛り上がってる。


ダンダン


「凛花、開けていい?」


早めに夜ご飯を食べたので、配信も部屋で聞いてた姉が聞いてきた。


「いいよ。別にへーきだから」


「・・。うん」


ガチャ


「今日の配信ダメじゃない!もっと、可愛いくしなさい。そんなこともできないの!」


ペシン


「そんなキャラじゃない」


「はあ?何言ってんの。お前が嫌われたら類さんに捨てられるのよ!お前のせいで!!わかってんの?そしたら、どうしてくれるの!」


服の襟を掴まれて、引き寄せされる。


「どうも、何も。そんなことで捨てられるような人じゃないと思うよ」


「はぁ?おまに何がわかるんだよ」


「はー。もう、いいから。手離して?息が吸いずらいし、お姉ちゃんも見て」


「知るか!もうこのまま」


『ゴミなんて愛する価値あんかよ』


「ッ!」


違う。あれは、過去。もう振り切れたじゃないか。

今は、この腕から逃げないと。

手でお母さんの腕をつねる


「何すんの!この暴力少女!やめなさい!これ以上、私を呪うな!」


「はーはー。何言ってるのかわからないけど、なら首を絞めないようにして?」


「首なんて」


ピンポーン


「誰か来たよ?」


「今度はもっと、うまくやりなさいよ」


ハー。命拾いした。


「凛花、大丈夫?苦しくない?」


「大丈夫ー。大丈夫、平気だって。ね?」


笑顔を浮かべて、落ち着いた声で返事をする。


「類さんー。お帰りなさい」


「凛花、類さんに言いましょ。きっと、どうにか」


「出来ないよ。お姉ちゃんのこの事は秘密ね」


クローゼットか、エリがある服装を取り出す。

急いで着替えないと、首の跡が見られる。


「よし。これで、わからないよね」


ガチャ


「凛花、お疲れ」


「社長もお疲れ様です」


「今は家なんだから、その呼び方じゃなくていいよ」


「一様仕事のことだから?」


「真面目なのはいいけど、もっとラフでいいんだよ」


「どうも」


ヨシヨシ


ビク ゾワり


はー。あれは、過去なんだよ。反応しなくていい。


「恥ずかしいから、やめてw w」


「慣れるよ」


うーん、退けて欲しかったんだけど。

苦笑いしたい気分を無視して、綺麗な笑顔を浮かべる。


「うーん、慣れるかなー」


「慣れるよ。お母さんにも言ったから、きっといっぱい甘やかされるよ」


「なら、いいなー」


暴力を甘やかすというなら、そうかもしれない?けど。全然、そんな雰囲気ないよ。逆に可能性減ったと思うよ。


「花芽ちゃん、どうした?」


「い。いや、なんでもないよ?あ!ず。ずるいな、、って?」


「ん?ああ、そうか。ほら」


お姉ちゃん、あ!って今思いついた感じしかしないよw w


「2人とも、実は聞きたいことあるんだけど。今日、2期生がデビューして、忙しいことが終わったら、式をあげたいと思ってるんだ。会場を一緒に見たいから、来週の土日空けといてくれる?」


あ、そうか。式をあげるんだ。


「あー。お母さんたちの大事な時間だし、お邪魔するのもあれだし、私は参加やめようかな」


正直言って、式なんて行きたくない。お母さんとはなるべく一緒にいたくない。今の状況だと、後から、ギャーギャ言われたらたまらない。


「私も」


「遠慮しなくていいんだよ。これから、家族になるんだし」


「遠慮とかじゃなくて。式は結婚でしょ?なら、別にどっか行くとかどうかなー?」


問題を後回しにしてしまうけど、類さんと結婚することによって母が変わる可能性はある。


「あー。それもいいな。穂花に言っとくよ」


「ありがと。なら、お母さんのところ行ってあげて、拗ねちゃう」


「あっはは。そうだな。じゃあね、2人とも」


「バイバイ」


ガチャ


「ふー。なんとか、バレなかった」


「凛花なんで隠したの?」


「だって、バレたらもっと酷いことになりそうじゃん。チクったって。それは勘弁だよ」


「だとしても!」


「心配してくれて嬉しいよ。ありがとう。お姉ちゃん。もう


「おやすみ」


少し寂しそうな表情。

もし、『言った所で裏切られる』、『仕事の腕は信頼してるけど、類さんという人は信用してない』と言ったらどうなるんだろうか。

そんなことないって否定するだろうか。

モヤっとした気分のまま目を瞑る。

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