第6章103話:決着

「チョコレート魔法は、無敵だと言ったじゃないですか」


と、私は告げる。


さらに、続けて言った。


「それに、さっきから思ってたんですけど……あなた、結構弱くないですか?」


「……!!?」


「実は、まだ本気じゃないとか? もう一段階、変身できたりするなら、さっさとやったほうがいいですよ?」


そう忠告した。


すると、ラザードは憤怒ふんど形相ぎょうそうを浮かべて。


絶叫するように叫んだ。


「ぐおおおお、舐めるなァァアアアアッ!!!」


さらに攻撃のギアを上げてくる。


だが。


「がっ!!?」


ラザードの上半身に、斜めの斬傷ざんしょうが走る。


チョコレート・カッターが、袈裟斬けさぎりにラザードを斬りつけたのだ。


さらに。


ザッ!


ザシュッ!


シュザァッ!


と、チョコレート・カッターが、次々とラザードに傷を負わせていく。


「馬鹿な……負けるというのか!? この俺がああああァッ!!」


まるで断末魔のごとく叫ぶラザード。


そんなラザードの心臓に、チョコレート・カッターが突き刺さる。


「あ―――――」


ラザードの胴体を貫通したチョコレート・カッター。


致命傷である。


私はいったん攻撃を止める。


突き刺さったチョコレート・カッターを、ラザードから引き抜く。


「ぐふっ……!」


ラザードが両膝りょうひざをつく。


完全に倒れ伏したりしないのは意地だろうか?


ただ。


狙いやすい位置だ。


私は、チョコレート・カッターを、ラザードの首へと狙いを定め。


シュザッと、スライスするような斬撃を放った。


ラザードの首が、あっけなくハネ飛ばされる。


飛んでいった首は草原の上に転がり。


首を失った胴体は、地面へと倒れた。


「……終わりましたね」


倒れたラザードを見下ろす。


ラザードはおそらく下級魔族で、上級魔族ではない。


しかし、チョコレート魔法は魔族相手でも通用することがわかった。


旅をするにあたっては、大きな収穫である。


「さて……」


私はいったん、ラザードの死体には背を向ける。


馬車のほうへと向かった。


馬車は半壊はんかいしたうえで、横転おうてんしている。


馬はいない。


おそらく逃げたのだろう。


私は、倒れた4人の男女のもとへ向かう。


脈を確認した。


「……ダメですね」


1人1人、確認していったが。


全員、脈がない。


もう死んでいると見るべきだろう。


魔族に殺されたこの4人の男女に対して、私は、ご冥福をお祈りした。


合掌がっしょうし、安らかに眠れるよう祈りを捧げる。




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