第6章101話:魔族との戦闘2

「避けるのが上手いなァ!? だが、避けてばかりじゃジリ貧だ! それとも、ビビって手も出ねえか!?」


とイキっているラザード。


私は反撃を繰り出すことにした。


にょきっ、と肩甲骨あたりからチョコレートを生やす。


それをぎゅいーんと伸ばして、ラザードに殴りかかるチョコレート・パンチ。


「!!?」


慌ててラザードは、チョコレート・パンチを棍棒でガードする。


しかしパンチの威力を殺しきれなかったか、ザザザザッ、と後退していく。


「ぐおお!?」


10メートルほど後退してから、なんとかチョコレート・パンチを受けきったラザード。


だが、余裕の表情ではない。


険しい顔つきへと変わっている。


「妙な能力を使いやがる。魔法か? しかも……思ったより威力が高い」


「まあ、私のチョコレート魔法は無敵ですからね」


巨岩すら殴り壊す――――


それがチョコレート・パンチ。


それがチョコレート魔法である!


「くくく、ガキが! お前は確かにそこそこやるようだが……あまり調子に乗るなよ」


そう言ってから、ラザードは宣言した。


「俺の本気を見せてやる」


次の瞬間。


ラザードが、武器を深く構えた。


魔力を練り上げる。


さきほどより濃厚な魔力が、辺りに充満する。


「いくぞ!」


ラザードが、地を蹴る。


滑空して、10メートルもの距離をあっという間に詰めてくる。


「フッ!!」


ラザードが振りかぶる棍棒。


その打撃に、私はチョコレート・パンチをぶつけて応戦する。


相打ちになる、棍棒とパンチ。


一歩後退したラザードに、私はチョコレート・パンチを4つ作って、殴りまくる。


「!!!?」


優しくない威力のチョコレート・パンチが4つも同時に襲い掛かってくるのは、ラザードもさすがに驚愕したようだ。


気勢をそがれたラザードが、パンチを振り払おうと応戦する。


「畜生!」


うっとうしそうにパンチとたわむれるラザード。


私は、パンチで殴りかかっている隙に、チョコレート・ガンを両手に生成した。


そしてラザードに向けて、チョコレートの弾丸を発砲する。


「がっ!!?」


ラザードに着弾する弾丸。


ラザードの身体はかなり硬いのか、穴をあけるほどではない。


しかし、ダメージが入ったようだ。


なので私はチョコレートの銃を連射することにした。


「がっ! ぐがっ! てめえ! くそがっ!!!」


弾丸を叩き込みまくる。


ラザードは連射に打たれ、怒り狂う。


弾丸に撃たれ、ラザードの防御が薄くなる。


そこに炸裂したのは、チョコレート・パンチ。


パンチがついにラザードのアゴを、横殴りに打ちぬいていた。


「ぐああああっ!!?」


ぶっ飛ばされるラザード。


なんとか受身を取って、倒れることを回避する。


ラザードが、こちらを睨んだ。


私はラザードに向かって告げる。


「なんか、思ったより大したことないですね」


「……!!」


「"本気を見せてやる"とか言ってましたけど……あなたの本気って、この程度ですか?」


「なん、だと……!!」


ラザードの顔が屈辱にゆがんだ。


悔しそうに歯ぎしりをする。


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