第4章76話:ドレアス視点

<ドレアス視点>


森にある高台。


そこから、セレナたちの戦いぶりを観察していた3人の男がいた。


うち1人はドレアスだ。


ドレアスは納得したようにつぶやく。


「なるほどな。アレがセレナか」


4人の盗賊たち。


役立たずの無能どもであったが、一応、戦闘訓練を積んだ4人組。


それを、いともたやすく蹴散けちらしたセレナの実力は本物だ。


決闘でジルを倒したのもまぐれじゃない。


「ニッシュ。お前はどう見る?」


とドレアスが、隣にいた男に話題を振った。


――――ニッシュ。


身長172センチ。


髪は青髪のロンゲ。


目はキツネのように細い。黄色の瞳。


胴を覆う服を着ており、肩から先は露出している。


腕の筋肉も、胴体の筋肉も、そこそこ発達しており、鍛えているのがわかる。


背中には、二本のロングソードを背負っていた。


「そうだなぁ。まあまあ強いんじゃねーの?」


ニッシュが答える。


「でもジルが負けるほどには見えねーな。ジル、お前はアレにやられたのか?」


「ああ。俺だけじゃねえ。ザカルもあいつにられた可能性がある」


「……ザカルが?」


とニッシュが目を見開く。


以前、ジルは、ザカルを殺したのはクレアベルだと思っていた。


しかし現在の見解は違う。


ザカルは、セレナにられたのだ。


セレナならばザカルぐらい楽勝で狩る実力があるからだ。


「で、師匠? あのガキをるのか?」


ニッシュは、ドレアスのことを師匠と呼んでいる。


ドレアスが答える。


「そうだな。殺し屋が、負けたままトンズラこいてちゃ、今後の仕事にさわるからな。ジルの名誉のためにも、一肌脱ひとはだぬいでやろうじゃないか」


ニッシュが言った。


「そういうことなら、もう一人のガキを狙えばいい。あの木の後ろに隠れてるやつだ。たぶんセレナに友達か姉妹だろ? 人質にして―――――」


と、そこまで言いかけたときだった。


いきなり、ベチャッと何かが付着してくる。


ニッシュが横を向くと、そこには……目があった。


それはホワイトチョコレートのロープの先端についた、チョコレート・アイである。


しかし、ニッシュたちにはそれが何なのかわからない。


「なんだ、魔物か?」


わからない。


が、たぶん魔物だろうと判断して、ニッシュは即座に斬りかかる。


チョコレート・アイがあっけなく切り裂かれる。


「弱えな」


とニッシュはつぶやく。


それから、自分の服に付着させられたホワイトチョコレートの液体をぬぐおうとした。


「ちっ……なんだよ。取れねえ」


「ニッシュ。ジル」


とドレアスが口を開いた。


「決行は夜だ。夜になったら、まずセレナの身内をさらう。それを人質にして、セレナをおびきだし、殺す。このプランでいくぞ」


「わかった」


「了解」


とニッシュ、ジルはそれぞれ答える。





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