第4章74話:攻防

「て、テメエ!!」


「よくもバゼルを!!」


と、盗賊たちが怒色どしょくをあらわにし始めた。


「……」


盗賊たちにとって、私の魔法はおそらく見たことも聞いたこともないだろう。


だったら分析する暇を与えないほうがいい。


このままぶっ倒してしまおう。


「ふっ!」


私は、呼気を一つ。


即座にチョコレート・ロープを生成する。


そのチョコレート・ロープを高速で盗賊たちへと飛来させた。


狙いは緑髪の女だ。


「!!?」


チョコレート・ロープが目にも留まらぬ速さで、緑髪の女の足にからみつく。


直後。


私はチョコレート・ロープをこちら側に引っ張るように動かした。


「うあっ!?」


足を思いきり引きずられた緑髪の女が、バランスを崩してすっ転ぶ。


すかさず私は、倒れた女にチョコレート・カッター10本を突撃させる。


「うわ、うああああああ!!?」


足をとられている状態で、まともな防御なんてできやしない。


女は、成すすべもなくチョコレート・カッターの大量斬撃を食らい……


滅多刺めったざしにされて死んだ。


「な、なによ、この魔法は!!?」


と、赤髪の女は驚愕する。


「……」


私は、赤髪の男を見据える。


「茶色い糸をムチのように動かす魔法……? 形状の変化もできるようだな」


と赤髪の男が分析する。


でも、違う。


糸でもなければムチでもない。


チョコレートなんだ!


まあ、彼らにわかるわけもないだろう。


「……ッ!」


赤髪の男が呼気を発する。


次の瞬間、手に魔力を込めて、魔法弾を放ってきた。


「ハァッ!!」


「無駄です」


私はチョコの壁――――チョコレート・ウォールを出現させる。


魔法弾は、チョコレート・ウォールにあっけなく阻まれる。


「なにッ!?」


赤髪の男は叫ぶ。


「な、なんだその能力!? ワケわかんねえ!」


盗賊たちは激しく困惑しているようだった。


とりあえず用が済んだので、私はチョコレート・ウォールを片付ける。

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