第4章

第4章61話:もう一つのチョコレート

――――4章――――



ネリアンヌは無事に逮捕された。


冒険者ギルドを立ち去った私たち。


この日は【キトレルの街】の宿屋に泊まることになる。


ネリアンヌたちに勝利した祝勝記念……


ということで、ちょっと高級の宿に泊まることになった。


宿の5階。


個室。


私が一人で、ベッドのふちにたたずむ。


「……」


ジルとの戦闘中。


実は、私は、ある力に目覚めた実感があった。


戦闘中には試さなかったが……


ちょっとこの部屋で試してみようと思った。


その力とは。


ホワイトチョコレートだ!


「ふっ……!」


右手のひらの上に、チョコレート魔法を念じる。


その際、ホワイトチョコレートをイメージ。


すると、いつもならこげ茶色のチョコレートの液体球えきたいきゅうが現れるところだが……


今回は見事、ホワイトチョコレートの液体球が現れた。


「成功です!」


このホワイトチョコレートの成分は、だいたいわかる。


カカオマスが使われていないのだ。


カカオがないことでココアバターの色合いと味が全面に出ている。


実際に、食べてみると。


「うん、やっぱりこれはホワイトチョコレートですね。ミルキーです」


ホワイトチョコレートらしいミルク感。


クリーミーな味わいであった。


味も、乳製品特有の甘みをぐいぐい感じる。


左手のひらの上に、いつものカカオチョコレートを生成。


食べ比べてみる。


うんうん、やっぱり全然違うね。


(もしかすると、チョコレート魔法を使い続けていけば、もっと種類が増えていくのかも?)


私がホワイトチョコレートを生成できるようになった理由は不明だ。


けど、なんとなくであるが……


戦闘中、チョコレート魔法がレベルアップした感があって、


こうしてホワイトチョコレートを生成できるようになった。


だから、チョコレート魔法を使いまくり、経験値を積めば……


もっといろいろなチョコレートを作れるようになるのかもしれない。


ちなみに、カカオマスチョコレートとホワイトチョコレートは同時展開できるので。


合体させて、二つの味わいを楽しむことも可能だ。


実際にやってみる。


左手にカカオマスチョコ、右手にホワイトチョコの液体を生成。


それらをぐいっと近づけ、融合させ……


固形化する。


できた!


マーブル模様のように、カカオマス色とココアバター色が混ざり合ったチョコ。


さて、実食。


もぐもぐ。


「ん~! 美味しい!」


甘み。


苦み。


ミルクの味わい。


口当たりがとてもよくて、まろやか。


素晴らしい。


よーし!


これからも、もっともっとチョコレート魔法を使い込んで。


どんどん進化させちゃうぞ!





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