第3章43話:ネリアンヌの心変わり

さきほど決闘以外にも、もう一つ、手立てはあるとクレアベルは言っていた。


その、もう一つを、クレアベルは語りだす。


「ネリアンヌ様をどうにかする、もう一つの手立ては――――私のツテを頼ることだ」


「ツテ、ですか?」


「ああ。王都にいる古い友人なんだがな。ヤツに頼めば、なんとかしてくれるだろう」


クレアベルは立ち上がる。


「さっそく支度をして、王都に向かうことにしよう。そのあいだお前とアイリスは、モント村に預けることにする」


「モント村……ユズナさんのところですか?」


「……いや、ユズナはいま出払っている。ったく、こういうときに限っていないんだよな、あいつは」


とユズナさんの愚痴をいうクレアベル。


まあユズナさんも仕事だろうし、しょうがないだろう。






かくして、クレアベルはすぐさま王都へ出発した。


クレアベルが帰ってくるまで、私とアイリスは、モント村の卵屋・シェニルさんのもとに預けられることになった。






<ネリアンヌ視点>


ネリアンヌはキトレルの街にある高級宿に泊まっていた。


昼。


部屋に、一人の新人メイドが訪れていた。


「は、はじめまして。ネリアンヌ様……本日より、ネリアンヌ様の、専属メイドになりました。よ、よろしくお願いします」


まだ子どもである。


年齢は12歳ぐらいだろう。


そんな彼女を見て、


「まあ、かわいらしい!」


とネリアンヌがはしゃいだ。


新人メイドが目を見開く。


「か、かわいらしい、ですか?」


「ええ、あなた、とってもかわいいわよ! お人形みたい!」


とネリアンヌが褒めた。


新人メイドが顔をあからめる。


「も、もったいないお言葉で――――――」


次の瞬間だった。


メイドの顔面に、突如、ネリアンヌが拳を叩き込んだ。


「ぐ、かはっ……!?」


メイドが転倒する。


なぜいきなり殴られたのか、メイドには理解できなかった。


ネリアンヌがケラケラと笑う。


「ふふ。あたしってさ、可愛いものを見たら壊したくなっちゃうのよね」


ネリアンヌは言った。


「良いオモチャが手に入って良かった。これからよろしくね、新人メイドさん?」


メイドは殴られた顔をおさえながら、ガタガタと震える。


ネリアンヌは考える。


「うーん、そうなると、もうセレナは要らないわね」


オモチャは複数も要らない、1人いればいい、というのがネリアンヌのスタイルだ。


だからネリアンヌは、セレナを確保することはやめて……


潰すことに決めた。




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