第3章36話:盗賊4
私は首の調子を確認する。
すっぱりと切り落とされていた首だが……
現在は、切断なんて無かったかのように、元の状態に戻っている。
チョコレート魔法の異様な回復力のおかげだ。
本当にすごいな、チョコレート魔法。
なお、首元や服に血が付着してしまっているので、それらを綺麗にする。
難しい作業ではない。
付着した私の血をチョコ化して、私の身体に戻すだけである。
よし、綺麗になった。
「それでは」
と、私は宣言する。
「賊のみなさんを、駆除させていただきますね」
次の瞬間。
私の両肘から2本、
肩甲骨から2本、
チョコレートがにょきっ、と生えてきた。
4本のチョコがぎゅーんと伸びる。
そのうち2本は、掴んだり殴ったりできる巨大な手……【チョコレート・ハンド】。
もう2本は、
チョコレート・ロープの先端を刃に変えたカッター……【チョコレート・カッター】である。
2本のチョコレート・ハンドと、2本のチョコレート・カッター。
それら4本が、盗賊たちに襲いかかった。
「散開しろ!」
とザカルが命令する。
その命令によって女盗賊2人は動き出す。
だが尻餅をついていた赤髪の男盗賊は、動きだしに失敗して座り込んだままだ。
「あ、ああっ!!?」
その男盗賊に対して、私は【チョコレート・ハンド】を振り下ろした。
バターンッ、と叩き潰すような一撃だ。
実際はバターンではなく、ぐじゃんっと肉が潰れる嫌な音がしたが……。
とにかく1人は始末した。
「……」
人を殺すことは、クレアベルによって訓練された。
ゆえに、ためらいはない。
ちなみに賊を殺した場合、賊の所持品は、すべて討伐者の戦利品になる。
つまりこいつらを殺せば、その持ち物はすべて私のものになるということだ。
戦闘が終わったら回収させてもらおう。
「次」
と私は紫髪の女盗賊に目を向ける。
チョコをムチのようにしならせて、【チョコレート・カッター】の斬撃を繰り出す。
「!!?」
紫髪の女盗賊は、【チョコレート・カッター】のあまりの速さに反応できず。
全身を4つに切り裂かれる。
チョコレート・カッターの斬撃力は、岩すらもバターのように切り刻む。
紫髪の女盗賊は、血をまきちらして死んだ。
青髪の女盗賊が叫んだ。
「リュカ!!?」
どうやら、たったいま死んだ紫髪の女盗賊はリュカという名前だったらしい。
まあ覚えなくていいだろう。
「……いったいなんだ、このガキは」
とザカルが口にする。
必死でこちらを分析しているようだが、チョコレート魔法を理解することなど、できやしない。
「よくもリュカを!!」
と、青髪の女盗賊が両手を前に突き出す。
次の瞬間。
彼女の手から、水の魔法弾が放たれた。
私に向かって飛来してくる。
が。
チョコレート・ハンドが魔法弾の前に立ちはだかり、手のひらで受け止めた。
「くっ!!」
青髪の女盗賊が歯噛みする。
そのあいだに私は、両手にチョコレートの二丁拳銃――――【チョコレート・ガン】を生成。
青髪の女盗賊に照準を定めた。
「避けろ!!」
とザカルが叫ぶ。
ザカルは、拳銃を見たのは初めてであろうが……
チョコレート・ガンの形状から、飛び道具であると理解したらしい。
だが、遅い。
すでに私は青髪の女盗賊に発砲していた。
チョコレートの
「がはっ!!?」
女盗賊のみぞおちを撃ち抜く。
さらに5発ほど追加で発砲して、足、腹、額、肩、脇腹を貫いた。
女盗賊は即死し、血の海に沈む。
これで3人が死んだ。
「あとはあなただけですね」
「……」
ザカルは険しい表情で、木の枝の上に退避していた。
怯えと恐怖の混じった、深刻な顔つきで、こちらを
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