エルフですが、転んだら転移してしまったようです
月城 夕実
異世界転移してしまいました
わたしは、目の前の景色に絶句した。
高い建物が沢山立ち並び、人が大勢歩いている。
いやそもそもここは街なのか?
空気も新鮮じゃなくて、よどんでいる感じだ。
わたしはカモミール・ルムフェ、エルフだ。
家で片づけをしていて、床に置いてあった物に
そしたら、景色が変わっていた。
「お~凄いな。本物のエルフみたいだ!」
通りすがりの、若い黒髪の男性がわたしを指さした。
背中には荷物を背負っているようだ。
冒険者にしては弱そうで、顔はキレイな部類か。
「凄いですね。プロのレイヤーさんですか?銀髪もキレイだし、目も緑色になってるカラコンかな?服も民族衣装みたいで、まるでゲームから飛び出してきたみたいだ」
男性は目をキラキラさせて近づいてきた。
髪を見たり、耳を見たり、ちらっと少し膨らんだ胸元を見ている。
「ここは何処だ?」
「うん?ここは東京の秋葉ですけど」
とうきょう?聞いたことが無い名前だ。
間違えて転移魔法を発動させてしまったのだろうか?
そんな事はないとは・・思うけど。
「この耳とかリアルですよね~。触ってもいいですか?」
「うひゃっつ!」
耳を触られて思わず叫んでしまう。
「あれ・・?本物??」
じーっとわたしの目を男性は見つめた。
「コスプレじゃない?本物?凄い!」
感極まって涙を流しているようだ。大丈夫か?
「是非!僕んち来てください。お金だけは沢山あるので困りませんよ」
わたしは手を引っ張られて、男性の家に連れていかれた。
まあ、変なことをしようとすれば魔法を一発かまして逃げればいいだろう。
ここがどういう所なのか知る必要があった。
情報収集をしなくては。
「大きい家だな」
家は領主が住む屋敷規模だろうか。
門が自動で開いた。
何かを操作しているようだった。
中に行くと、庭に大きい噴水があった。
こいつ貴族なのか?
貴族なら攻撃すると、まずいかもしれない。
貴族にたてついて、ひどい目にあった奴を何人も知っているからな。
「「お帰りなさいませ。お坊ちゃま」」
使用人たち数十名が、横並びで男性に頭を下げる。
さて、これからどうやって聞き出そうか?
わたしは頭を巡らせていた。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
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エルフですが、転んだら転移してしまったようです 月城 夕実 @neko6
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