第19話 ピクニック
夜、俺はエレンと一緒に風呂に入っていた。
「ルーク、そこをもっと泡立てて」
「こうか」
「もうちょっと下」
「ここか」
「そこそこ」
俺はエレンの長い髪を洗っていた。女の子の髪は長く洗うところがたくさんある。よく普段からこの長い髪を洗っていると感心しつつも俺もエレンには髪が綺麗でいて欲しいので念入りに洗った。
「流すよエレン」
「ありがとう。終わったらルークも洗うよ」
俺は今度はエレンの体を洗う。夜も共に過ごした仲だが、風呂場でのエレンの肌は普段よりも水滴で艶めかしく映った。この柔らかい体を洗うというのが俺の性欲を掻き立たせる。
「ルーク、恥ずかしがらなくていいよ背中のここら辺タオルで擦って」
「あ、ああ」
俺は煩悩を振り払い、エレンの背中を洗うのに集中した。背中は艶やかでシミ一つない。今度は前を洗うのだが、俺はその柔らかい体を丁寧に洗った。女の子の体は繊細なので優しく洗った。
「もう、ルークったら。昨日はあんなに激しく求めてきたのに。私にもルークの体洗わせて」
「分かった。よろしく頼むよ」
笑顔で俺の体をエレンが洗う。
「ルークの体ってがっしりしてて格好いいな」
「まあ、ダンジョンにいつも行ってたからな」
エレンは俺の体を洗いながら俺の背中を撫でる。エレンに洗ってもらって俺は内心照れていた。好きな人に体を洗ってもらうのは照れながらも嬉しかった。そしてエレンは正面を洗う。
「ルークの腹筋割れてて格好いいね」
「ありがとう。エレンの体も綺麗だよ」
念入りに体を全て洗い、今度は頭を洗ってもらった。エレンは頭を洗うのが上手かった。
「エレン、頭洗うの上手いな」
「良かった。上手く洗えて後でいっぱいエッチするためにも綺麗にしとかないとね」
俺達は一緒の湯船に浸かる。湯船は広い訳ではないが、俺もエレンもこうしたいと思っていた。エレンの柔らかい足が俺の足に当たる。
「ねえ、ここでいつもみたいにキスしない?」
「ああ、しよう。こんなに裸のエレンを見せられて我慢はあんまりできないし」
「私も、ルークの格好いい体を見てて我慢できなくなっちゃった。ルーク、大好き」
「俺もだ。愛してるエレン」
そうして俺達は風呂のなかで抱き合いディープキスをした。その時間はゆっくりと流れていった。そうして何分経っただろうか。風呂の外からアンディーの声がした
「兄上達、速くして下さい。待ってます」
「分かった。もう出るよ」
「ルーク。ベッドの上で覚悟しておいてね今日は私がルークに情けない声を出させる」
「そんな早々出ないよ。ま、ベッドの上ではよろしくな」
「うん。よろしく」
そうして俺達は風呂から出る。俺もエレンも寝間着に着替え、早速ベッドに向かった。俺達は裸になり獣になった。お互いがお互いを貪り合う。夜遅くなりやがて眠気が来てお互いを就寝へと誘った。そうして朝が来る。
「おはよう。ルーク」
「おはよう。エレン」
「またやらない?」
「そうだな」
俺達は朝になってまた激しくお互いを求め合った。そうしている内にドアがノックされる。
「おーい、ルーク。まだやっているのか?私達はそこまでではないぞ」
「ちょっと待ってよ父さん。今着替えるからさ」
「はわわわわ。今の時間までやってたんですか。ルークお兄ちゃん」
「兄上、エレンさん、ピクニックの約束忘れてないよね」
「忘れてないよ。今行くからさ」
「ルーク、楽しみだね」
「ああ、今日はみんなでピクニックだしな」
俺達は着替えて部屋の外に出る。アンディーとカティアはもう行く用意を終えたようだった。
「カティア、お兄ちゃんとはあの後進んだか?」
「うーん、まだまだなんだよね。一緒に風呂には入ってるけど私の体を見てもそんなに赤くならないし」
「まあ、頑張れ。俺は応援してるよ」
「兄上、何の話してるの?」
「お前はもっとカティアの思いを知ろうとすればいいさ」
「確かにそうだね。最近はカティアがなに考えてるか分からない時があるし」
「知ろうとすれば見えてくると思うぞ。知った時はお前に任せるが」
「分かった。今回のピクニックでそれを知れればいいな」
こうして俺達は草原にピクニックに向かった。俺とエレンとアンディーとカティアで向かったのだった。天気は晴れていてとてもいい雰囲気だ。
「こういう雰囲気のところだとルークといつもキスしてるけど。今日は2人もいるしやめておこう」
「そうだな」
「えー、ルークお兄ちゃんとエレンさんのキスしてるところ見たい」
「おいカティア。そういうのは強要するもんじゃないぞ。兄上、エレンさん、ごめんなさい」
「いいけど。そういうのはこっそり言うものじゃないのか」
「私もそれくらいは気にしないよ。そういう年頃なんだよね」
「覗き見かあ、お父さんに怒られそうだなあ」
「カティア、やるなよ兄上達に迷惑だし」
「はーい。お兄ちゃん、私とキスしたい?」
「......は?」
「だよねえ。私に振り向いてくれたらいいのにと何度思ったことか」
「僕達は兄妹だけど、そんな感情は。でも俺はカティアのことは好きだし。ああ、何なんだよ」
アンディーは冷静さを欠いた。カティアの言葉が腑に落ちなかったらしい。
「アンディー、どうするか決めるのはお前だ」
「兄上まで変なこと言わないでよ。僕は兄としてカティアは好きだけどその先に行くのはちょっと不味いんじゃないかって思ってる」
「お兄ちゃん。私と付き合って」
「だー。何なんだこのむず痒さは。嬉しい気がする俺もいるし、駄目なんじゃないかとも思うし」
「なら」
カティアはアンディーの唇にキスをした。アンディーは真っ赤になる。
「カ、カティア。何を」
「良かったなカティア。脈ありみたいだぞ」
「やったー。ピクニック来て良かった」
「兄上」
カティアは喜びアンディーは俺に怖い顔をして向かってきた。怖いと言っても俺の方が圧倒的に格上で実質怖くないのだが、俺はアンディーの肩に手をやった。
「アンディー、これはいつか気付くことだったんだ。それが今になっただけさ」
「だからって、兄上とエレンさんの出会いはどうだったんですか?」
「ルークはいじめられてた私を白馬の王子さまみたいに現れて助けてくれた。それが私達 の出会い」
「俺が白馬の王子様!?」
「そうだよ。あの時からルークは凄く格好よく私には映ってたよ。今はもっと好きだけど」
俺がそういう風に映ってたというのは少し照れる話だ。そんな話をしていると、アンディーが弁当のサンドイッチを開けた。
「ほら、カティア。食べよう」
「お兄ちゃん、一緒に食べてくれるんだね」
「あ、ああ」
アンディーはカティアから目をそらしている。
「勇気出せアンディー、男だろ」
「うっ。僕たちのこれは恋人関係と呼べるのかな」
「関係ない。お前が今カティアといい関係なのは変わらないだろ。勇気出せアンディー」
「分かった。頑張るよ兄上」
「お兄ちゃん。これ食べて」
「ああ」
アンディーはカティアの持ってきたかじりかけのサンドイッチを食べる。
「間接キスだね。お兄ちゃん」
「うっ」
「そんな恥ずかしがらなくてもいいだろ。今までは何ともなかったんだろうに」
「意識したら急に恥ずかしくなってきたよ兄上」
アンディーは本当に恥ずかしいらしく、カティアの顔を見れていなかった。そんな様子に逆にカティアは喜んでいる。
「恥ずかしがるお兄ちゃん、新鮮だなあ。普段の格好いいのもいいけどこれはこれで」
「カティア、お兄ちゃんはお兄ちゃん失格かもしれない」
「じゃあ別の呼び方で呼ぶねアンディー君」
更に赤くなるアンディー。この調子では恋人関係になるまで持たないかもしれない。
「アンディー。勇気だ。勇気を出せ」
「あー、兄上、兄上はこの気持ちを......分かってるのか」
「そうだ。向き合え。もしかしたら後で後悔するかもしれないぞ」
「分かった。カティア、どうやら僕もカティアのことが異性として好きみたいだ。付き合おう」
「うん。大好き、お兄ちゃん」
こうしてアンディーとカティアは異性として付き合うことになったのだった。アーサーが許すかどうかは分からないが今のところは幸せなので良いことにしたい。
「そういえば兄上、ここの川に魚がいますね」
「そうだな。捕ってみるか」
「出きるの?」
「魔法はイメージと魔力だ。それさえあればほぼなんでもできる」
「僕が先にやりたい」
「いいぞ」
そうして、草原に流れていた川でアンディーは水魔法を使い濁流を発生させて魚を捕った。それを俺が火魔法で調理する。
「弁当がもう一つ増えたな」
「お兄ちゃん、凄いよ」
「カティアにそう言ってもらえると嬉しいよ」
「良くできましたのキスをするよー」
「ちょっ、カティア、恥ずかしいだろ」
普段の対応から赤面するアンディーとカティアはお似合いだと思った。こんなに2人で楽しそうにしているのだ。ふと、エレンが俺の唇にキスをしてきた。
「私達も負けてられないしね」
「そうだな、愛してるエレン」
「私も。大好きだよルーク」
俺達はまた、ディープキスをした。流石にピクニックなので長くはしないが、幸福感をとても感じた。
「うわあ、これがルークお兄ちゃんとエレンさんのキス。お兄ちゃん、私達もやろう」
「んな無茶な。こっちは心の準備が」
「そんなこと言わないでやろうよお兄ちゃん」
「今日は一回だけだぞ」
そう言ってアンディー達も俺達の真似をしようとしたのだが
「っ」
舌が触れあうところでアンディーが冷静さを失った。カティアがそこを無理やり舌を絡める。このディープキスは数秒で終わった。
「駄目だ。兄上達はよくやってるな」
「もう、お兄ちゃんのヘタレ」
「ごめんカティア」
「納得がいくまでやったら許してあげる」
こうしてアンディーはカティアと何度もディープキスをしようとした。何回も行いやっとカティアが納得する頃には数十分が経っていた。
「お兄ちゃん、ありがとう」
「カティアもありがとう。僕なんかのために」
「これからは恋人らしいこと沢山しようね。お父さんには内緒で」
「そうだね」
「2人も仲良くなったみたいだなそろそろ帰るか」
「今日があって良かったよ兄上。今日がなければ妹の気持ちに気付けなかった」
「それは良かった」
こうして俺達はピクニックを終え家に戻ったのだった。
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