29話 リザルト
「痛い…ことは無いけどやっぱ落下する感覚は怖いな」
俺は落下で死ぬかに思われたが、咄嗟にアヤがメイガス用に詠唱してた回復魔法を俺にかけてくれたことでギリギリ助かった。アヤはと言うと落下軽減の魔法を覚えていたらしい。
「それにしてもよく落下軽減の魔法なんて覚えてたな」
「まぁね。色々あって覚えてたのよ」
「じゃああんなに悲鳴あげなくても良かったのにな」
「うっさいわね」
向こうを見てみるとヒナが疲れて寝そべっていて、メイガスは吹き飛ばされた壁から立ち上がりこちらに向かってきていた。
「いやー、マジで危なかった。最近手に入れた食いしばりがなかったら絶対死んでたわ」
「だから生きてたのか。てことは今HP1ってことかー」
「だなー。……おいアヤ、変なこと考えんなよ」
「考えてないわよ。HP1って杖でどのくらいの強さで殴れば減るのか考えてただけよ」
「考えてんじゃねぇか!」
とりあえずみんなでヒナのとこに集まることにする。そんな寝そべってるヒナの隣には赤色に金色の豪華な装飾が施された宝箱が置いてある。これはボスを倒したら最後にボスを倒した位置に宝箱が出現するようになっているのだ。
「これは激レアアイテム確定のやつだな」
「そうなの?」
「ボスには3段階に分けられたドロップアイテムがランダムに落ちるんだけど、レアエネミーだから1番下の金の箱は出ないんだけど、これは赤と金色の箱の更に上で、装飾が豪華になってる宝箱」
「じゃあ早く開けちゃおうよ!」
ヒナの目が輝いてる。まぁ1番いいやつが確定だからな。金の箱からでも激レアアイテムが出ることはあるが、非常に稀だ。
ちなみにレアエネミーの時でも通常のボスの素材がボーナスで手に入るし、なんなら通常ボスのレアよりのアイテムを沢山くれる。
「あ、マルチだと箱開けても中身は金貨しか見えないから」
「そのままそれぞれのインベントリに送られるのか」
「ちょっと残念…」
「ちなみに激レアだと獲得一覧のウィンドウに赤い枠のアイテムがあるぞ」
どれどれ….。うーん、俺に激レアは渡って来なかったみたいだ。マルチだからと言って全員に激レア相当のアイテムが渡るわけじゃないが、今回の場合だとレアは確定で貰えるので基本的にマルチの方が1周あたりの総報酬料は増えるようになっている。その分少し敵が強くなるが。
「あ!私のとこに赤枠のが入ってる!」
「俺には入ってねーよ…」
「私のところには入ってるわね」
「俺は入ってなかったから2つ落ちたのか。結構運良かったかもな」
俺らのパーティーは報酬は均等になるように配分されるようになっているので、1人に2つ落ちるなんてことはない。
「私のは鬼王の宝黎珠。レア度3ね」
「おー。大当たりの方じゃないか?レア度3って言ったらここのダンジョンの50層から少しずつ出現するようなアイテムだし」
10層のボスにしては結構なアイテムだ。このダンジョンは大きいので数字に対しての難易度はあまり高くは無いが、それでも50層は初心者帯での最後くらいにはなる。
そもそもこのゲームは初心者の幅が広すぎるからレアアイテムの中でも上澄みじゃないか?
「名前からしてデバフ系か?多分加工して使うやつ」
「名前からそんなことまで分かるのか?てかアルって知識広いよな」
「え?あー、いやー、結構配信とかは見てるから知ってるんだよ。てか前は少し生産職やってた時期があってな…」
「ふーん…」
ちょっと喋りすぎたかも。アヤにめっちゃ見られてる…
「そういえばさっき回復魔法かけた時に一瞬…」
「え!?ちょっと見てください」
アヤが何か言いかけた時にヒナが声を上げてウィンドウを見せてくる。
そこには舞鬼巫女の瑠璃霊装という装備アイテムがあり、レア度は4………4!?
「え?これって………やっぱそうだわ。今調べたけどそれ多分オーガロードの最レアアイテムだよ」
「ほんとですか!?」
レア度4って100層以降のアイテムだろ。ここは100層から難易度跳ね上がるから関門の1つなのに…
「なんならレアドロップ枠のレア度4だからちょっと効果上の方かも。てかこれ多分効果とかより希少性で価値高い」
「ほんとだ。調べたらオーガロードが出現する階層でもボス枠じゃないとそもそもドロップしないアイテムがあるみたいだ」
「ど、ど、ど、どうすればいいの?」
効果は通常くらいの全体ステータスアップに加え逆境スキル付与とスタンと毒の完全無効化。
レアエネミーって周回すれば出てくるけどそもそもの実装数が少ないのでやっぱり効果が結構盛られてる。
2種無効化は相当強いな。首飾りだから首の装備枠全部使うがそれでもお釣りが来るレベルだな。
「ステータスアップが割合だしヒナにちょうどいいんじゃないか?」
「別に売ってパーティの資金にしても…」
「いや勿体ないし持っとこう」
「そうよ。ヒナに似合ってて可愛いわよ」
前から思ってたがやっぱヒナってリアルラックが相当高いんじゃないのか?俺だってあんまりレアエネミーの再レアドロップ出したことないのに…
そんなことを思ってる時だった。俺たちが入ってきた扉、つまり9層から見慣れない男が降りてきた。
「これは…俺ってばやっぱり超ラッキーじゃね?」
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