11話 NPC
集合場所に指定してあるスマイルズバーガーはエグスタでも人気のファーストフード店だ。現実で言ったら○クドナルドとかモ○バーガーとかだな。
味に関しては現実より断然に美味い。やっぱリアルでのリスクが一切発生することなく商品開発ができる事や、ゲーム内でどれだけ食べても太るのはゲームアバターだけな点が、飲食業界の熱を加速させてる。
集合時間は12時30分で現時刻は11時20分。多分歩いていくとちょうど着くくらいだと思うが問題がひとつ。
集合時間って何分前に着くのが良いんだ?調べてみても5~15分前って言われるが、これって結構差があるぞ。正直俺自身の理想を言えば2.3分前なんだよな。でもこういうのって個人的な感覚だよな。
うーん。マナー的に5分よりかは後にすべきだろうけどまぁ10分…いや7分前くらいに着けばいいか?
いやそもそも多分どの時刻に着いても非常識じゃなければ、多分相手はそこまで何も思わないか。むしろこれでガミガミ言われるくらいなら多分そのパーティーには入らない方がいいんじゃないかな。
まぁ気にしないでいいやって思っても、こういうマナー的な事を変に気にしてしまうのが日本人の性というもので、目的地に向かいながらも無駄に悩んでいた。
その後相手方からメッセージで集合する席を伝えられて、メッセージで大体の時間を送ればいいじゃん、と思ったのがその5分後だった。
☆
スマイルズバーガーに到着したのは15分くらいだった。思ったよりも早く到着してしまったな。
このスマイルズバーガーはこの国でも結構大きめの店舗になっていて人入りも多く、よく新商品の試験的な導入がされている。
俺がこのスマイルズバーガーに来るのは久しぶりだな。正確には客用の入口から入るのが久しぶりなんだが。
店内は人気店舗なだけあってとても清潔にしてあり、美味しそうな匂いが漂っている。
俺が少し時間でも潰そうとしていると、店の奥からスーツを着た男性が近づいてきた。
「オーナー。来るなら言ってくださればお出迎えを致しましたのに。それとも抜き打ち的なものですかね?」
「エルガントさん。久しぶりですね。今日は待ち合わせにきただけなので気にしないでください」
「そうでしたか。それではごゆっくりとお過ごしください」
「ほんとに今日はただの一般人としてきたんで気にしないでください」
この方はこの店の店長を務めているエルガント・プロミスさん。頭の上にはNPCを示す緑色のクリスタルのようなアイコン。
この世界でNPCは本当に生きているように過ごすし死んでもリポップなんてしない。見た目だって人によって違うし、表情や感情も豊かであり人によって違う。この世界でNPCと真剣に結婚する奴がいる程だ。
「そういえばこの前の新作はどうだったんですか?」
「それはもちろん好評でしたよ。このまま行けば準レギュラーか季節限定として売れそうですね。あとは…」
しばらく商品について話していると時間になったので、エルガントさんとは別れそのまま集合場所へと向かった。
いよいよ集合だか、久しぶりのパーティーなので普通の人が来ることを願う。いやほんとお願いします。
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