VRの神ゲーで生産職を極めたので今度は戦闘職に手を出そうと思います~最強だったので初心者パーティーで実力を隠しながら時々本気を出していく~

@peanuu2

プロローグ

 西暦2051年7月末日。


 当時10歳の誕生日を迎えた俺は幼馴染と一緒に某有名ゲーム販売店に来ていた。


 10歳、つまり小学校4年生だが、それはつまりVR機器への接続許可が出る年ということで、幼馴染とこれからVR機器とゲームカセットデータを買いに来たという訳だ。


 VR機器というのは安いものでは無いが幼馴染と一緒にプレイしたいということで、誕生日プレゼントに買ってくれることになった。


 そしてVR機の購入を済ませた俺たちは現在、どのゲームをするか選んでいる途中だ。

 今まで携帯型ゲーム機でしか遊んだことは無いが、どのゲームをするか悩みながら選んでいる時のワクワク感はやっぱりどのゲーム機でも共通みたいだ。


 一応候補はいくつか決めてあって、まず幼馴染とプレイするから通信できるゲームにするのは大前提だし、最初にするゲームは長く遊べるゲームにしようってことで、MMORPGにしようってことになってる。

 でもMMORPGの有名タイトルは結構溢れてるし、どれも面白そうだから悩みどころだ。


 ふと俺の視線は新発売コーナーの片隅にあるゲームに向く。新発売コーナーのゲームは沢山置いてあるが、それでもこのゲームに視線がいったのは本日発売だったこととその値段だ。


「翔くーん。何してるの?ベルトラとかユグドラシルとかはあっちの方に置いてあるよ」


「いやちょっとこのゲームが気になって」


 本日発売開始のゲームは2つ置いてあって、片方は割と有名なゲーム会社が作った有名タイトルの続編で、ここ最近広告でもたくさん見かけるほど気合を入れて作られたゲームだ。

 そしてもう片方のゲームは、結構ゲーム配信とかを見る俺が、名前すら聞いた事のないゲーム会社だった。更に言えばVRを買うにあたって、新発売ゲームとかも結構調べてたけど発売するなんて聞いたことも無かったし、広告とかでも流れてないゲームだし。


「これゼルドの続編じゃん。そっか今日が発売日かぁ。でもこれソロゲーだから通信できないよ?」


「いや俺が気になったのそっちじゃないよ」


「え。まさかこっちのやつ?」


 幼馴染がこんな反応になるのも無理は無い。そのゲームの値段は、近年上昇傾向である普通のゲームカセットの定価の2倍以上はある。こんな値段がするなら広告ぐらい見たことあると思うが、全く知らないゲームだし。


 店側もあまり売る気がないのか新発売コーナーの中でも本日が発売日のゼルドは結構スペースが取られてるのに、このゲームは端っこにポツンと置いてあるだけだ。大手有名店だから売ってないのはまずいし、とりあえず置いとくかみたいな感じなのが見てとれる。


「えー。これ買うの?これ買うなら他のを2つ買った方がいいよぉー。調べたけどなんの情報も無いし、このゲームダウンロード版も無いんだよ!?」


「いやこの値段さ、持ってきてる割引券も含めて丁度今日俺が出せる金額なんだよね」


 正直これ買うくらいなら他の2つ買ったほうが俺もいいと思う。でもなんかビビっときちゃったんだよね。


 幼馴染はこのゲームを買うのは渋ってるみたいだ。こいつ金は結構持ってるし、多分俺と一緒にやりたいと思ってたゲームがあったんだな。

 今日までしたいゲーム決めてなかったし多分そのゲームの良さを語られて、俺とそれをやるつもりだったんだろう。


「ほら?なんか運命感じない?俺が今日ギリギリ買える値段だしさ。2つしか置いてないのも俺たちだけに販売してる感じがしてさ?」


「運命…」


「それにこれ多分サーバー開始が今日帰ったあと位だし、事前情報とか一切ないならさ2人きりで開拓してくのも楽しそうじゃん?」


「2人きり…うん分かった、今すぐ買お?絶対楽しいよ!」


 よし。こいつ最近俺たちの親と見てるドラマでそういう部分に目をキラキラさせてるのに気づいてて良かった。


 早速俺たちはこのゲームを購入して、プレイ開始を楽しみにつつ、この後親達とご飯を食べに行って誕生日を満喫した。



 これが後に神ゲーとよばれる

「Existent Another」

 に俺たちが出会ったきかっかけだった。

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