第2話もしも、こんな医者がいたら…②

オレの名は、ウーピー・ゴールドバーグの影響受けた、中村和也45才。

最近、やけに疲れて食欲もない。

近所の評判の良い病院を受診した。


「中村和也さん、3番の診察室へ」


中には髪の毛を伸ばし、黒いコートを着た男性医師がいた。

「中村さん、悪いね。さっきまでオペでね」

『スゴイ医師なんだろう』 

「私の呼び名は、スーパードクターYKKだ」

「はい。あの〜、最近は食欲もなくて毎日が辛いんです」

「そうか。じゃ上着脱いで!」


オレは言われるがまま、上着を脱いだ。


プルルル、プルルル


内線電話がなる。

「オレだ!……105号室の山崎さんが死んだ?あー、また、メスの置き忘れか〜。そっちで上手く処理しろよな!」


「せ、先生、今の電話は?」

「あぁ〜、別に大した事じゃないよ」

「患者さん、死んだんですよね?」

「人間じゃ無いよ。豚だよ。おたく知らないの、私は獣医師だけどアルバイトで内科もやってるんだ」

『しまった!こいつ、医師免許ねぇ』

「先生、早く診て下さい」

YKKは聴診器でペタペタと音を聴き、

「おたくねぇ〜、もうこの病院じゃ手に負えないわ。酷い顔だね」

「そんなに悪い顔ですか?」

「今から、紹介状書くから、そこの病院で診てもらって!」


「はい」

「じゃ、この封筒を持って、この病院へ行きなさい」

「あ、ありがとう……?先生」

「何だ?」

「何だじゃないですよ。紹介先は『荒川動物クリニック』じゃないですか!」

「あその先生は、盲腸の手術が出来るスーパーアニマルドクターだよ。心配すんな」

「お、オレは盲腸ですか?」

「いや、ガンだよ!」


「そんな事があるか!ヤブ医者!否、獣医師!」

「おたく、今の脅迫だよ。警察に電話する」


オレは逮捕された。

病名は、単なる疲労だった。


皆さんこんな経験、ありませんか?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る