冬と春の境目いづこ水仙花

【読み】

ふゆとはるのさかひめいづこすいせんくわ


【季語】

水仙花〈冬〉


【大意】

スイセンよ。冬と春の境目はどこにある。


【付記】

スイセンは「雪中花」の異名をもち、冬の季語である。品種が多く、花は早いもので1月ごろに咲くが、遅いものだと5月ごろに咲きもするらしい。「黄水仙」「喇叭水仙」「桃色水仙」「口紅水仙」などはみな春の季語のよし。これでは冬の花か春の花かで意見が割れるのではないか。


【例歌】

うつくしき素足の冬の来りけりちらほらと咲く水仙の花 与謝野晶子


【例句】

水仙や白き障子のとも映り 芭蕉

其にほひ桃より白し水仙花 同

初雪や水仙の葉のたわむまで 同

冬ごもりこの水仙や老が友 杉風さんぷう

朝露に水仙しづむつぼみかな 尚白しょうはく

清浄な葉のいきほひや水仙花 凉菟りょうと

水仙の花たてまつる仏かな 支考しこう

小坊主の上下かみしも着たり水仙花 素覧そらん

むらさきの雪をまたばや水仙花 乙由おつゆう

水仙や玄関たたく雪のくれ 臥高

水仙や雪の中よりふる葛籠つづら 焦桐

山寺の春や仏に水仙花 也有やゆう

水仙に狐遊ぶや宵月夜 蕪村

水仙や兎の耳も旭影 荘丹そうたん

水仙や背戸は月夜の水たまり 蒼虬そうきゅう

水仙の根に降たまるあられ哉 吟江ぎんこう

水仙に古書画商ふ小家こいへかな 内藤鳴雪

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