みづどりをいくつ浮けてや冬の河

【読み】

みづどりをいくつうけてやふゆのかは


【季語】

みづどり(水鳥)・冬の河(冬の川)〈冬〉


【語釈】

浮く――①(「浮く」に対する他動詞)物を、水面や水中に浮かぶようにする。浮かべる。②物事を外面に表わす。特に、涙を浮かべる。③織物などの模様を浮かび上がらせる。④地面などから離れるようにする。浮かす。⑤船を浮かべる。出帆する。

[精選版 日本国語大辞典]


【大意】

水鳥をいくつ浮かべてこの冬の河があるのだろう。


【付記】

水鳥がいようがいまいが、それが冬の河であることに変わりはない。大げさに言うと水鳥は冬の河をいろどる花のごときもので、それ無しだといたく殺風景になるだろうと考えたのである。


【例歌】

大君は神にしせば水鳥のすだく水沼みぬまを都となしつ 作者不詳


【例句】

水鳥の大崩れするあられかな 正秀まさひで

水鉢の水鳥なれや白丁花はくちやうげ 一有

水鳥やかたまりかぬる山颪やまおろし 瓠界

水鳥や舟に菜を洗ふ女あり 蕪村

水鳥や枯木の中にかご二挺にちやう 同

水鳥や巨椋をぐらの舟に木綿売もめんうり 同

水鳥や何はなくとも夕ながめ 闌更らんこう

水鳥よぶいぶい何が気に入らぬ 一茶

水鳥のゆくにしたがふ木葉哉 吟江ぎんこう

水鳥の夢驚かす驟雨しうう哉 寺田寅彦


冬川やいかだのすわる草の原 其角きかく

冬川やここらももめば都鳥 存義ぞんぎ

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