十七文字の風景(俳句のようなもの」第4部)

青丹よしお

茶漬け喰ふ朝すがすがしうめのはな

【読み】

ちやづけくふあさすがすがしうめのはな


【季語】

うめ(梅)〈春〉


【大意】

茶漬けを食べるこころもすがすがしい、ウメの花が咲く朝である。


【付記】

芭蕉(1644-1694)の「朝茶」の句と季節がちがうくらいで、趣旨は同様かと思う。


【例歌】

梅の花さやかに白く空蒼くつちはしめりて園しづかなり 伊藤左千夫

梅にしのぶ頭巾なさけの水浅黄浪速なにはは闇の宵の曽根崎 与謝野晶子


【例句】

朝茶飲む僧静かなり菊の花 芭蕉


浪速津なにわづにさく夜の雨や梅のはな 宗因そういん

灰すてて白梅うるむ垣根かな 凡兆ぼんちょう

梅の花になひおこせよ植木売 西鶴

この梅に牛も初音となきつべし 芭蕉

梅椿早咲き褒めん保美ほびの里 同

のうれんの奥物ぶかし北の梅 同

梅が香にのつと日の出る山路かな 同

着そはじめ咲くや難波なにはの梅の花 杉風さんぷう

しんしんと梅散りかかる庭火哉 荷兮かけい

初寅や道々匂ふ梅の花 言水ごんすい

桜まで曙いくつ梅の宮 同

つぶつぶと梅咲かかる霞かな 尚白しょうはく

麦踏て三々五々の野梅のうめかな 才麿さいまろ

たたく時よき月見たりんめの門 其角きかく

むめが香の畳に渡る月夜哉 露川ろせん

梅が香や隣は荻生惣右衛門 作者不詳

這梅の残る影なき月夜かな 野坡やば

里坊さとばういしうす聞クやむめの花 昌房しょうぼう

梅が香や奉行をおくる門の口 浪化ろうか

白梅やけふは豆腐の南禅寺 吾仲ごちゅう

梅が香の一封切るやとしのうち 乙由おつゆう

衛土籠ゑじかごが袖ふれし夜の梅 鉄丸

ゆく年の女歌舞妓や夜の梅 蕪村

鳥さしを尻目に藪の梅咲ぬ 同

梅が香の立ちのぼりてや月のかさ 同

ちる螺鈿らでんこぼるるしよくの上 同

しら梅に明る夜ばかりとなりにけり 同

梅咲いて十日に足らぬ月夜かな 暁台きょうたい

白梅や庭火すすむる夜のあや 東皐とうこう

ぞろぞろと田舎むすめやうめのはな 寥松りょうしょう

我春も上々吉よ梅の花 一茶

梅咲やせうじに猫の影法師 同

夕月や納屋なやうまやも梅の影 内藤鳴雪

白梅に千鳥啼くなり浜の寺 夏目漱石

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る