いる

「ここはどこなんだ?」


美しい空間を抜けると、見知らぬ大地が目の前に広がっていた。だが、周辺に木々が生い茂っているが、尽とミロのいる場所には何もない。ただの陸が穴の開いたかのように広がっているだけであった。


「…っ!」


一瞬でミロの態度が急変し、一気に警戒を始める。


「尽!ここは不味い!速く撤退をっ…」


言い終わる前に俺は急激な悪寒と恐怖に襲われる。あの時、ゴブリンと戦った時でもなく、ダミに殺されそうになった時との次元が違うほどの――――。



「くっ…」


後ろを振り向けば、扉があるはずだ。そう思い後ろを振り向くと。いなかった。いや


明確な恐怖を感じているのに存在を認知出来ないほど―――――――――やつは強い。


甲冑を身に纏う騎士。昔のヨーロッパに出てきそうだが、ここは魔法のある世界。やはり自分の常識は通じないだろう。目には光が無く、無機物のような存在。


それでも格の違いだろうか。存在を認知出来ない。


「ファイアぁーーエクスプローション!!」


ミロが攻撃しドゴぉと音を立てる。その隙に。


概念無効ゼロ・ワールド!」


白黒のせかいが展開され、俺は念じた。「剣を下ろせ」と。だが、奴の剣が下ろされる事は無く、俺が血を吐く事態が発生した。


「…?なっ…ぜ…」


何度想っても、念じても、奴ではなく、俺に還ってくる。


血を吐き


血を出し


なお。


「剣を下ろせぇぇぇ!!」


俺の叫びは無駄だった。今、俺の目の前に奴が迫ってくる。


「くっ…」


もう何も出来ない。剣だって使えない。どうすれば…


そう考え、ミロを見る。だが、彼女は蹲っていた。奴がミロの魔法を跳ね返していたのだろう。体が所々黒く焼かれていた。








剣が俺に振り下ろされる。







そこでまたを聴いた。あの声に。そこで俺の意識が途絶えた。


『守るために戦え』





そして『よくやった』と。




尽の髪の毛が黒い髪から茶色に変化していき、黒い目が緑色へと変貌していく。


ふぅと息を吐き、呟く。





「ここからはのターンだ」







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