Episode 032 それは、とある宣戦布告か?


 ――歩く、また二人きりで。そして思うの。彼女の目的が、一体何なのかを。



 フミフミと積もる雪の上、足跡を残しながら……


「すっかり大雪だね。明日は積もるね」と、お空を見上げながらサンタ君が言うから、


「そうだったね、ホワイトクリスマス。グッドタイミングだよ。……じゃあ、今日はイブということ。ウフフ……サンタ君から、初めてのプレゼントね」と、ウットリと、それでいてギュッと抱きしめる紙袋。お楽しみは、きっとこれからね。


「それは、イトちゃんがいい子にしてたから。御褒美だよ」と、サンタ君は微笑みを。


「でも、私、学校に行ってないよ……」


「大丈夫。元気になってきてる、それが一番大事だから。学校だって、いつの日か行ける日がくるから、イトちゃんなら大丈夫。正義の心を持ってるから、必ず勝てるからね」


 迷いのないサンタ君の言葉、お空に響き渡る。


 共に歩けば、サンタとトナカイ。それ程のパートナー感が、心が躍る程に。


 そして、お話は続く……


北浜きたはま真琴まことは転校した。急に御両親の都合で。それから先程の……葛城かつらぎ咲姫さきさんは生徒会の人で、少なからず悪い人ではなかった。実は、僕もお手伝いをしたことがあるから」


 と、唐突に言うサンタ君。


 彼なりの情報提供。学校での出来事で、その内容は、どれも私が気にしている内容。そこからの詮索は、あまりしないことにした。葛城さんのことは、今はまだ……


 もう少し、整理が必要だ。


 なら、そっとサンタ君と腕を組み、身を寄せる。


「ちょ、イトちゃん?」


 と、白い雪を溶かしそうな赤い顔のサンタ君。面白い程に驚きの表情で……


「ウフフ……今宵は女子力アップのトナカイさんよ、サンタ君」


 などと、すっかり意味不明の台詞。でもでも温かいから、今宵はこのままいたいの。



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