第2話
ドーーーーン!!
という轟音とともに俺は目を覚ました。
目を覚ますと正装をした男性たちがたくさんいた。何が起きたのだろうかと辺りを見回すと、この場にいる全員が俺と同じことを思っているらしい。
すると、1人の背の高い派手な衣装を着た男性が、俺の元に近づいてきた。
「あなたは一体……」
と、俺を覗き込むようにして見てきた。正直言って気持ち悪いと思った。(失礼だが……)
「ああ、すみません。急に近づきすぎましたね。私の名はロベルト・レイゼンです」
「………………」
「無言は困りますね」
俺は頭がボーッとしており、何が何だか分からなかった。だから、急に自己紹介されても困るのだ。
「あなたのお名前は?」
「……
「はて?聞き慣れない言葉ですね」
名前が聞き慣れないなんて言われたのは初めてだった。周りがザワザワとするなか、俺はどうでもいいような感覚になっていた。……が、次のロベルトの言葉で困惑することになった。
「あなたはどこから来たのですか?」
「はっ?」
「えーと、どこから来たのかを伺っているんです」
どこから来たのかさっぱり分からなかった。というか状況も理解していないのに、どこから来たのかと言われても困る。
「はてさてどういうことでしょうか」
俺が聞きたい。
「あなたは激しい轟音と光と共に突然現れたのですよ」
「はぁ……」
「反応が薄いですね」
それはそうだ。何にも分からないんだから。と、ここで俺は疑問に思う。
(……何にも分からない?でも、名前は分かるのに)
「魔法は使えますか?」
「……魔法?」
俺が分からないという顔をしたのか、ロベルトは人差し指に火の玉を出した。そしてすぐに消す。
「この反応だと魔法がない世界から来たのかもしれませんね」
ロベルトの言うことが分からなかった。魔法がない世界という言葉がやけに引っかかる。
「どこから来たのか、風景も……覚えていませんか?」
「……分からない」
「そうですか」
ロベルトはここで結論に辿り着いたのか、分かりやすく率直に俺に伝えた。
「あなたは異世界から来て、その影響で記憶を失ってしまったのでしょう」
「……記憶を」
俺が前の世界で何をしていたのかは分からない。でもこれだけはなんとなくだけど覚えていた。何か人を殺せるものを持っていて、血しぶきをあげながら、それに塗れて何かと戦っていた。
(どうでもいいや)
今の俺には全てがどうでもよく思えた。俺はこれからどうなるのだろうかとそればかり思っていた。
そんな俺を悟ったのか、ロベルトがこう言い出した。
「あなたのことはこれから教師陣で話し合います。それまで待っていてくださいね。何せ今はベルトブルクカレッジの入学式ですから」
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