第2話 謎の石像に書かれた謎の数字
3時間後、私は侯爵の住むナヴァリスという国にについた。それから徒歩で、侯爵から電話で教えてもらった住所を頼りにお屋敷へと向かった。
お屋敷へ着くと、侯爵は私を見つけるなり
「あ、リチャード先生、来てくれましたか」
と、手を振ってにこにこと無邪気な笑顔を見せて私を出迎えてくれた。お屋敷の中を案内してもらっている途中、私は侯爵から様々なことを教えてもらった。
どうやら侯爵は、若くしてこのお屋敷を買い、たくさんの使用人や執事などとともに暮らしながら、貧しい人々にもお金や食べ物を分けてあげるとても優しい方ならしい。それを聞いて私は侯爵のために必ず怪盗ファントムよりも先にブルーベル・ルビーを手に入れようと、固く心に誓った。
部屋の案内が終わり、私は侯爵にリビングへと案内された。
リビングに行くと、私は侯爵からファントムからの手紙を見せてもらった。
「ふむ、侯爵。立派な塔とは、どこのことかはわかっていますか?」
と、私が侯爵に聞くと、侯爵は
「はい。これは私の予想ですが、西のほうにある塔がファントムの指す『立派な塔』のことだと思います」
そう答え、塔の場所を指さした。
「あの塔がファントムの指す立派な塔か。侯爵の予想ではあるが、行ってみる価値はあるぞ」
そう思った私は、すぐさま侯爵の指さした塔へ案内してもらうことにした。
塔へ案内してもらっている途中、私は謎の形をした石像を見つけた。石像には、
『0―5―6―4―』
と書かれていた。私はなぜだかこの数字が妙に気になったので、侯爵に
「この石像は何ですか?それに、この数字も何か意味があるものなのですかな?」
と聞いてみた。侯爵は、
「ああ、この石像のことですか。この石像のことは私にもよく意味が分からないんですよ。実はこのお屋敷は私が買い取ったものでして、もともとこのお屋敷は私のような侯爵が、この土地を買ってお屋敷を建設して住んでいたそうなんですよ」
と、笑いながら言った。それを聞いて私は、この数字が何かに関係しているような気がしたので、手帳へと今聞いたことを書き写して、塔へと向かった。
「ここがファントムの指す『立派な塔』のことだと思います。私は西の塔と呼んでいますが、なぜファントムは『立派な塔』と呼ぶのでしょうか?」
と、侯爵が首をかしげながら独り言のようにつぶやいた。それを聞いて私は、
「なぜファントムが『立派な塔』と呼ぶのに疑問を持つのですか?」
と聞いてみた。すると侯爵は顔を少し渋くして
「いや、あの塔にはちゃんと西の塔という名前がついているらしく、それをあの怪盗ファントムが知らないはずもないので、『立派な塔』と呼ぶのに少し疑問があるんですよ」
と言いながら
「まあ僕の考えすぎですかね?」
と、後付けをして笑いながら言った。そのことを聞いて私は、これもまた何かに関係している気がしたので手帳に
ファントムが呼ぶ『立派な塔』とは、
もともとは西の塔というらしい。
と、書き写し、塔の周りをくまなく探した。数時間がたった。
「駄目だ。この塔の中に入るための手段が見つからない。
ほかの塔は中に入るための出入り口があるらしいが、この塔の出入口は岩が邪魔をしてほんの数ミリのスキマすらない。果たしてファントムはこの塔の中にどうやって入ろうと考えているのか……」
と、私は半ばあきらめていた。一応侯爵に頼んでほかの塔の中も調べさせてもらったが、特に変わったものもなく、困り果てていた。が、とりあえず私はさっき手帳に書き写した謎の数字を先に解くことにした。
「この数字はもしかしたら、あのファントムが狙うブルーベル・ルビーを手に入れるために必要な数字かもしれない」
そう思った私は頭を集中させるため一度自分の家に戻り、
「残りの期間はあと二日しかない。何としてでもこの謎を解いてやるぞ」
そう固く決心し、椅子にもたれかかりながら静かに謎を解くため頭を集中させた。
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