第2話 女子会
真っ白な壁とかなり騒々しい床のある広々とした部屋が、2階の最初のドアをそっと開け閉めしたルーシーを出迎えた。
日差しが差し込む部屋に数歩足を踏み入れると、ルーシーはまずいと思った。
ひろびろとした、活発な近所を眺めることができる窓のあった部屋のこと?
いや、違う。
まずかったは、顔の状態。いや、それだけではなく。
地獄のような午後の日差しを浴びてしまった肌の全部。
「マジで初日から外国で肌荒れか......」
ヒリヒリした顔に笑みが張り、人差し指が赤くなった前腕に白いくぼみを押し込んだ。
「素晴らしいって言えないな。」
部屋の真ん中に向かってもう一歩踏み出したルーシーは、太陽を覆い隠すように浮かんで来た雲に感謝した。
膝をついてその眺めを味わおうとしたが...
キーキー。ガサガサ。
肩が凝って、頭をあちこちに振って、その恐ろしい音の発生源を突き止めようとした。
何。何。何!?
「神様、お願い…」
箒か銃なしで、害虫と対立するのはありえない。
それぞれの隙間まで、部屋を徹底に観察したら、小さくていやな何かが隠れ家として使える所はなかった。
さらに、部屋を一歩一歩進んだら、鳴き声はどんどん大きくなっていった。
「まさか…」
ルーシーはもう一度足を踏んで見た。
キーッキーッ
『私!?」
リスかネズミしか聞こえないのに!
初めて家に入ったとき、この床を "畳 "と優子に呼ばれた。米と同じものだそうだった。
不足な日本語で、ルーシーが正しく理解したのか知らなかったが、疲れが溜まったら何も気にしなくなってしまいました。
うーん。最悪この床があって食べ物には困らないな。
今日は特に良い日ではなかった。
叔父の「わあ、あれは何だ?」や「ねえ、あの看板には何て書いてある?」とのイライラな質問の上で、彼はまるで刺激されすぎた子供のように数え切れないほど指をあちこちにさしたせいで、ルーシーは自分の知らない世界から顔を隠し、長い長い昼寝をしようと思っていた。
貧乏で一円もない存在で、寝れる家があることはもちろんルーシーが感謝した。
だが、叔父の素敵な優子と一緒に暮らせること、ルーシーにとっては何よりだった。フランクに言うと、あの男が優子のほど素晴らしい恋人が出来たのはルーシーが恐らく彼女の最後の息まで理解出来ない。
ルーシーがその瞬間急に願ったのは、優子と二人きりで住んで叔父をカリフォルニア行きの船に捨てようと。
待って、違う違う違う。
眉をひそめて首を振り、柔らかい畳に膝をついた。
私があの船に戻りたい…はずでしょう。
雲から逃げた太陽の光が、ルーシーのこわばった顔に当たった。
一体なんだ、これ?
シカゴでの出来事の繰り返しだ。未知のところまで恐ろしい道を旅しながらも、やっと着いてきたら不本意に慣れてくる。
スカートの裾をいじりながら腰を動かし、数日前の旅で起こった会話を思い出した。
優子が自分と叔父のベッドを横切って、ニヤニヤな笑顔でルーシーのスカートをつかんだ。
「ずっとこの部屋にいるより、今夜男性と一緒に遊んだら?デッキでトランプしてるイケメンがたくさんいたわよ!髪をとかして出かけなさいよ!」
どう見ても美しい優子にとっては、男性に注目されるのは当然で簡単なことだった。
シカゴの時、アルフレッドおじさんはかなり競争があったが、奇跡のように優子にプロポーズする勇気を獲得することはなんとか出来た。とは言え、彼が『ハズバンド』の役割を果たせるか…ルーシーにとっては怪しい。
ルーシーは一息を出した。
あの男はそれさえできなければ、このすべてが無意味になってしまう。
障子の向こう側から騒々しく叩きつける音がしたら、ルーシーは立ち上がった。
「ルーちゃん!」
「あっ」
震える手でボサボサの髪をとかしながら、音の方へ向かった。「はい、ちょっと待って。」
障子をスライドしたら、にこやかな笑顔の優子が現れた。
「大丈夫?疲れているよね!今日が終わったら、女子会しよう!」
優子がルーシーの肩に腕を回して、蒸し暑い中で二人の頬がくっついた。
「是非、それしようよ。言うともう楽しみになるんだ。」
1階の台所から2階へ染み込んだアルフレッドおじさんのイライラな声を聞きながら障子を閉めた。
「女子会二人きりで一週間か一年間できればいいのに。」
ルーシーは目を丸くしながら、それぞれのファンタジーのために指を一本さした。
「一日くらいはいけるかもね。それ以上なら彼はもう生活できなくなる。ルーちゃんはわかってるでしょう!」
優子がルーシーとすれ違い、肩越しにウィンクをして、窓辺に立った。
「この部屋、どう?好き?」
「あー」ルーシーも窓の方に戻って、優子の側に立った。目を上に見たら、全身がキモく感じがするほどでかいクモの巣が目線に入った。
「まあ…いい。景色も綺麗だし。」
巣から視線をそらしながら、亡き弟がいつも言った議論を思い出した。
傷つけるなんてできないよ!小さいし殺さないで!ほら、ルーシーが虫になって人間に潰されたら?怒るだろう!ね!
「じゃあ、ここがルーちゃんの部屋ね!」 ルーシーが無言になったことを気にせず、優子が笑顔で窓ガラスを軽く叩いた。
「えっ?だけど私がっ』
首を振って、弟の思い出を送別したら、ルーシーの絶望が急に混乱になってしまった。
「もちろん、ありがたいけど、こんなところを…」
感じた感想を言葉で説明できなかったルーシーは、両手を軽く振りながら、両腕を前に広く突き出した。
「自分の部屋ってこと?プライバシー?スペース?」優子が笑った。
「そう、あれ。」ルーシーがうなづいた。
プライバシーって一体どういうもの?
泥だらけの靴を履いたまま、2人でシェアする部屋の自分の領地に気軽に入る騒がしい7歳の弟なしで?霧笛のようにいびきが止まらないおじさんなしで?そういう生活ってあり得るの!?
「これからおじさんは私に任せて、ルーシー!ごめんけど、3人で同じ部屋に寝る生活は今日で終わり!」
優子はルーシーの肩に再び腕を回して笑った。
「ルーシーにとっては問題ないでしょ?」
「寂しすぎて死んじゃうよ、きっと。」 胸を手で掴みながら、ルーシーは体を優子に転がした。
「ルーちゃんは死んじゃうダメ!誰かが便所を掃除しないと!」
「本当に私を殺そうとしていない?光、光が見える!」
「嘘よ、私たちはもう窓の方を向いていないわ!」
廊下に方に行って、ルーシーはしぶしぶ優子から離したら、階下からは雑音と怒鳴っていた声が響いた。
「それが我々の合図か?」
「女の苦労は決して終わりがないわ。」
階段を下りながら、優子はつぶやいた。少なくとも、合計5分間の休憩があった。
「年をとればとるほど、わかるようになるわよ。」
「うーん。」ルーシーは唇を噛み、耳まで届く笑顔で横を見た。
「歳をとったらもしかして私も優子のように、上品な髪型もするか?あんたみたいなお嬢さんたちはまさか汗をヘアカーラーとして使うなんて!」
優子は笑っているルーシーに睨んだ。イライラで若い女性のくるくる髪を掴んで引っ張って、二人を階段から転げ落ちさせようかと、一瞬に検討した。
「蒸し暑い便所で掃除する間にルーちゃんの髪もエレガントなカールになるかもしれない!」
「まじで私を殺すつもりなの?」
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