第8話 蘇る鈴木
蘇る鈴木
ドカ、ドカ!
「おんどれえ!!! どないしたんじゃ!! このワンちゃんどっからさらってきたんじゃ!!
あん? 公園の? トイレの脇にくくられてたから、かわいそうになって連れてきた? それ! 明らかに散歩の途中じゃろうが!!」
ドカ、ドカ!
「それになんじゃい! このPCの画面は!! ワンちゃんオークションに出されとるじゃなあか!! ワレ、なに考えとんじゃ! コラ!! おかしいと思うたんじゃ!! ワレみたいなカスがこがぁ可愛いワンちゃん飼うてるわけなかろうが!!
おう……まさかその金で借金返そうと思うたんじゃなかろうの?
この腐れボケがぁ!! そなあに金が欲しかったんか!? ワレの五臓六腑切り刻んでオークション出しちゃろうか!! おう!?」
ドカ、ドカ!!
「ふう……ふう……まあ今回はこんくらいにしちょいちゃるわ。ええか!! 次くる時までに金も用意しちょけの! ええの!!」
バタン……
ふう……危なかったなぁ……すでにネットオークションで出されちゃってたよ。
え? あ、ボクですか?
ボクは……金貸しの拓こと安田拓朗です。
いやぁ……ビックリしましたよ。
鈴木さんてば、人んちの飼い犬にまで手を出してお金作ろうとしてたんですよ。
でも……あれかな? それだけボクが追い詰めてたってことなのかな……
え? そのわりにはボッコボコにしてたんじゃないかって?
……。
なんの話しかの?
まあ、とにかく無事ワンちゃんも取り戻したし。これで早乙女さんも、ちゃんと話し聞いてくれると思うんです。 いやぁ……あのビラを見た時はビックリしましたよ。
まさか、さっき借金を取立てに行ってた鈴木さんのとこに早乙女さんが探してたワンちゃんがいるなんて思わないじゃないですか。
偶然ってのはあるんですねぇ、ホント。
え? 人質にする気かって? とんでもないですよ!!
あんな人にこんな交換条件出したら、なにしてくるか分からないじゃないですか!
このワンちゃんはあくまでも話し合いの場に早乙女さんを着かせる為の切り札ですよ。
それに、このワンちゃんが帰ってくれば依頼料もいくらか入ってくるわけでしょう?
それなら、きっと早乙女さんも借金を返してくれると思うんです。
まあ、払わない気ならこっちもこのワンちゃんを渡すわけにはいきませんけどね?
え? そういうのを人質っていうんじゃないかって?
……。
やかましいんじゃコラ。
と、とにかく! これから、このワンちゃんを連れてBAR『ヨリミチ』に行きます。まあ、事務所で待っててもいいんですけど……あの様子じゃ当分帰ってきそうにないですからね。
このビラに書いてある連絡先で待ってようと思うんです。
さあ、行こうか! ワンちゃん! あれ? 寒いのかい? えらく震えてるけど…どうしたんだろう?huhuhu
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