第二告  投稿動画(その1)

 ■ 投稿者:Usher Dollman 


「……この動画をご覧頂きありがとうございます。

 突然ですが、僕は嘘告を絶対に許しません。嘘告のせいで僕の好きだった子が自殺したからです。嘘告なんてこの世から無くなればいい!

 ……だから僕は復讐します。嘘告に関わった人間、彼女を死に追いやった奴らに【シニコク】の呪いをかけます。


 ……【シニコク】で呪われた人間は体に刀物傷のような赤い影が浮き出ます。その影は嘘告をした証拠としてその人間に一生ついて回ります。赤い影が浮き出る時間と回数は日ごとに長くなっていって最後は消えなくなります。嘘告をした人間はその消せない罪を後悔しながらずっと生きていってください。


 ……僕は彼女が自殺したことを軽く考えてほしくないんです。中には自殺すれば【シニコク】の呪いから逃げられると思う人間もいるかもしれません。でもその人はそれでいいかもしれませんがひとつ忠告しておきます。

 その人が死ねば呪いは災いとなって周りの人間を巻き込むんです。その連鎖に囚われるのは誰なのかを考えてみて下さい。それは友達でしょうか、親兄弟姉妹親戚あるいはでしょうか? いずれ残された人たちは生き地獄を味わうことになるでしょう。


 ……後で動画をアップしますが、まず【シニコク】の呪いのやり方を言葉で説明します。一番重要なことは呪う相手が嘘告に関わった人間であることです。そうでなければ呪いはかかりませんから注意してください。


1.呪う相手の持ち物を手に入れます。ハンカチとかノートとかが良いんですが、相手が使っていたものなら何でもいいです。これを奉書紙(習字の半紙とかでも良いです)で包み、依り代とします。依り代には相手の名前、あるいはその嘘告に関わった人間の名前を書きます。


2.同じように被害者つまり嘘告をされた人間の持ち物を用意し、依り代を作ります。


3.ふたつの依り代をこよりで一緒に縛り、重ねたまま針や釘などで串刺しにします。1本でも効果はありますが、何本刺しても構いません。気の済むようにやってください。


4.依り代の次は刃物を準備してください。包丁などがいいでしょう。そして末尾が4の日つまり4日、14日、24日を選び、深夜2時59分に呪いの言葉を唱えます。

 呪いの言葉はこうです。『シニコクシニコク言葉を返す(被害者の名前)の怨み思い知れ、シニコクシニコク邪心を返す(相手の名前)は奈落に沈め』これを3回以上繰り返します。複数の相手を呪う対象にする場合も唱えるのはそのうちの一人の名前で構いません。


5.そのあと用意した刃物で自分を刺します。そのとき出た血を依り代に、串刺しにした針を中心に注ぎかければ呪いは完成です。


 ……僕の望みは嘘告をした人間が呪いによる罰を受け、最終的にはこの世から嘘告をする人間がいなくなることです。そのために僕は同じ思いを持った人のために【シニコク】の呪いを公開することにしました。【シニコク】の呪いは丑の刻参りを現代風にアレンジしたものですが、その効果は絶大です。


 そしてこれは皆さんにお願いなのですが、世の中に【シニコク】という言葉、あるいは【4259】という数字を広めてほしいのです。そしてその方法は強いインパクトを与えるほうが好ましいです。

 その理由は、呪いの成功率は共通認識がある事で高まるからです。みなさんは丑の刻参りやコックリさんの正式なやり方は知らなくても、それが何なのかはよく知っていますよね? それが重要なんです。


 もっと言ってしまえば、呪いとは術者の気持ちが相手に届けばいいのです。そのための手段が呪いであり、それを相手が認識すれば呪いは成立するということになります。……まあこれは友人の受け売りなんですが。


 ……では4日の深夜2時59分に動画をアップします。場合によってはすぐ消されるかもしれませんが、みなさんのご協力を重ねてお願いします。


 ……最後にこの投稿の代行者でもあり、一緒に【シニコク】の呪いを完成させてくれた陰陽師の末裔を自称する友人に感謝を。


 ……それでは、さようなら……」

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