ローグ・スペラーレ ーRogue Superareー 改

( mk )²

第1章 平穏が崩れるとき

舞台・中世ヨーロッパ


明転


喫茶店の中・ざわざわしている様子

モブ二、三人とエレノア、アステリアが既に席についている状態


モ一「ねぇ、あれ人間じゃない…?」


モ二「ほんとだ、しかも向かいにいるのロクザンだし」


この会話のとき、アステリアが少し戸惑うように、若干びっくりしたり、嫌がる素振りを見せたい

エレノアもアステリアの様子を気にする


モ一「…なんで人間なんかと関わってんだろう。周りの目とか気になんないのかな…」


モ二「変なロクザンも居たもんだね。人間なんてロクザンの足元にだって及ばないのにさ」


店内のモブの声が徐々に小さくなる

それとともに新聞屋の少年が店内に入ってくる


新「号外号外〜!!!カケラが見つかったってよぉ〜!!」


新聞を配りながら店内をぐるっと回ってはける

エレノア、号外を受け取る


エ「まあ、嵐みたいな新聞屋さん」


ア「あんなに騒がしく走っていくから事件かと思いました」


エ「そうね。…なんだか読むの飽きちゃった。アステリア、これあげるわ。見ていいわよ」


ア「…いえ、お気持ちだけで十分ですから」


エ「…どうして?そんなに遠慮しなくたっていいのよ。読んじゃいけないなんてこともないんだから」


ア「しかし自分はあくまでも従者でありエレノア様に仕える立場ですし、そんなにお気になさらずとも/


/エ「じゃあ、命令にでもすれば読んでくれるの?」


ア「え、いや、そういうことでは」


エ「従者だからって意見を押し殺さなくてもいいのよ。貴女がやりたいことを言ったとしても怒ったり否定したりしないわよ」


ア「…すみません、ありがとうございます。では、読ませていただいてもよろしいでしょうか…?」


エ「もちろんよ、どうぞ」


アステリア、新聞に目を通す。しかし、エレノアが話し出したところで読むのをやめる


エ「…それで、その号外だけど」


ア「言っていた通りカケラについてですね。消えてから二十年も経った今、ついに…と」


エ「二十年…なくなってすぐは大変だっただろうし、号外も出るわよね」


ア「そもそも伝説のものなんですよね?」


エ「えぇ。実在するかどうかも分からないのに記事にするとは…」


ア「気休め程度の僅かな希望に縋っていたいのでしょうね」


エ「結局いつまで経ってもみんな落ち着かないものなのかしらね」



ア「…そういえば本日は特に用事も無いですが、どうして外出を?」


エ「ちょっと買い物がしたくなったの。あと、単純にアステリアと出かけたいなって思っただけ」


ア「…エレノア様」


エ「なに、どうしたの…?」


ア「以前から思っていた事なのですが…自分だけを連れて外出なされるのはやめた方がよいと思うのです」


エ「どうして…?一緒に出掛ける召使いが一人でその一人がアステリアというだけなんだから、問題ないでしょう?」


ア「そういう事ではなく、人間である自分をお連れになるのをやめた方が良いという話でして」


エ「…私がいいって許可を出してるとしても?」


ア「えぇ、そうです。エレノア様もご存知でしょうけれど、ロクザンと人間が関わることはあまり良いとされていないでしょう」


エ「それはそうだけど」


ア「…人間である自分がロクザンであるエレノア様と関わること自体、本来であればありえないのですよ」


エ「召使いだとしても関わっちゃいけないなんてそんなの嫌じゃない」


ア「それならばせめて他の召使いをお連れになって下さい、自分だけじゃなければ多少、周囲の目も避けられるのですから」


エ「…じゃあ今度からはそうする…かも。ほら、行きましょう」


ア「あっ、ちょっと待ってください、エレノア様!!」


エレノア、アステリアを置いて走り出す。アステリア追いかける


この時、向かいからモブが登場しすれ違うタイミングでアステリアとぶつかる


ア「い゛っ…、すみません…!!」


モ「おいテメエ!!どこ見てんだ!!」


モブ、アステリアにつかみかかる


エ「アステリア!!」


エレノア、アステリアに近寄ろうとするが、アステリアが手で来ないように合図する


ア「ッ…こちら側の不手際です、誠に申し訳ございません…!」


モ「人間ごときに謝られて済む話じゃねえんだわ…ッ!!」


ア「大変失礼致しまし……ぐッ!」


モブ、殴りかかる


アステリア、抵抗しきれずされるがままになる


エ「ッ、やめて!!!!!!」


エレノアが叫ぶと同時に魔法が発動される(ここは演出さんと照明さん頼みます…)


つかみかかっていたモブ、後ろに吹き飛ばされた後、怯えたように這う形ではける

他にも席についていたモブの二人ほどがはけるが、一人だけ端の方に残る(席についたままでもいい気が……?)


このタイミングでエレノアはカケラを落とす。落としたことにアステリアが先に気付いて疑問を持つ。


ア「エレノア様、それは…(カケラ)!?」


アステリア、つぶやく


エレノアはそれに驚き慌てて拾う


周りがざわめく中、エレノアは拾ったあとその場にうずくまり何かを呟いている


照明と音響でそれとなく怪しい雰囲気にした後、アステリアがはっとして駆け寄る


ア「ッエレノア様…!!エレノア様、大丈夫ですか…!?」


エ「やだ、やだ、嫌わないで、変だよね、分かってるよ…」


ア「エレノア様!!お願いですから自分の声を聞いて下さいませんか!!」


アステリア、エレノアの肩をつかみ自分の方に向かせる


ア「大丈夫ですから、エレノア様のことを嫌ったりなどしませんよ…。自分はずっと、エレノア様のおそばにいますから…!!」


エ「ッ…ほんと…う?嘘、じゃないよね…」


ア「勿論です、自分が嘘をついたことなどありましたか…?」


エ「…ううん、ない」


ア「それなら、分かって下さいますか。…先ほども言いましたが、自分はずっとエレノア様のおそばにいます。自分はエレノア様にお仕えしていることが幸せなのです。だから嫌ったりなどしませんよ。そしてエレノア様に拾っていただいたこの御恩もありますから」


エ「…うん、ありがとう」


ア「では、行きましょうか。お買い物しに行くんでしたよね」


アステリア、立ち上がりエレノアの方を見る


エ「ねえ、アステリア。このことは秘密にしてほしいの…。魔法が無くなったこの国で私だけ持ってるなんて本当ならありえないんだもの…。私、知ってるの。この国は魔法が使えない今の方が幸せだって。お父様にもお母様にもそれをずっと言われて生きてきたわ…!」


ア「…エレノア様」


エ「…昔に一回間違えて使っちゃった時以外、今までこんな風に魔法が発動されたことはなかったの。今まで制御できてたし、何かに影響されても発動しないようにしてきたのに全部ダメになっちゃった…。だから…お願い、黙っていてくれないかしら…」


一人だけ残っていたモブ(リゼン)が動き出し、二人の近くに寄る


ア「…分かりました。エレノア様の御要望とあらば/


/リ「へぇ……随分と楽しそうな話してんね、あんたたち」


ア「エレノア様……ッ!!」


アステリア、エレノア逃げようとする


エレノア、リゼンに腕を掴まれる


アステリア、驚きながらエレノアの元へ近付こうとするが、リゼンが短剣で脅す


リ「おっと…、近付くのは勝手だけど、俺は容赦なんてしないから」


ア「自分の主に何をするおつもりですか」


リ「俺にとってあんたたちがどんな関係であろうとなんだろうと関係ないからさ」


エ「アステリア、/(聞こえるか聞こえないかくらい)


/リ「この子は俺たちにとって不都合になり得る存在だからね。危険分子は早めに取り除くもんでしょ?」


ア「そんな曖昧な理由で…!!」


リ「そんなふうに殺気立っても戦闘できるタチじゃないんだからやめといた方がいいと思うけどね」


ア「ッ……!!!!(声にならない怒り)」


エ「私に構わず逃げて!!」


ア「待ってください…!!エレノア様!!」


エレノア、リゼンはけようと動き出す


ア「エレノア様!!」


アステリア、リゼン達に近付くもリゼンに突き飛ばされる


ア「くっ……」


リゼン、エレノア完全にはける


ア「エレノア様…。追いかけなくちゃ…!」


暗転

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