第4話

狭い路地をまたぐ短い信号が赤く点灯している。車が来ないならそのまま渡ってしまってもいいのだ。


ある人は渡った。誰かに見られてないか警戒するような挙動不審で、ある人は渡った少し悩みながらスタートダッシュを決めるような駆け足で、ある人は渡った信号が青になる寸前で。


私は止まった。別に急いでいる訳じゃなかったから、目的地にたどり着くにはいささかペースが早かったから、駆け足で行くには不向きなサンダルだったから。


別に何が良くて何が悪い訳じゃない。

ルールを守ったら偉くなるわけでもない。

でも何となく青く点灯する横断歩道を渡るのは心地よかった。

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