第3話

辛いことを忘れるために酒を飲む

こんな大人になってはダメだ

今をいきる人よぼくより先に行け

今をいきる人よぼくを踏み台にしろ


立ち行かない不安の中にいる

進歩することなき自分の中にいる

進化することなき自分の中にいる

ぼくは誰よりも変わらない

皆の思い出の中にいる


進化しないことはろくでもないことだ

身体だけ老いて何にもなれないでいる

懐かしの誰かにあの日の思いを思い出させるだけでいる


ぼくは誰が見てもあの日のままで

一人だけ自分が時間に取り残されている

確実に現実に科学的に主観的に身体は老いているのに

詩的に理想的に追走的にぼくはあの日のままでいる

精神性のどこかでは確実に変化があるはずなのに

心理的変化は訪れているはずなのに


あの日のあの人はぼくを何も変わらないと言う

あの日のぼくのことは好きではないが

あの日を思い出すぼくのことは好きだ

何も変わらないぼくが嫌いだし

あの日を思い出させる変わらないぼくが好きだ


誰にしろぼくの中にあの日を思い出す

そこだけは変わらないぼくでいたい

確かに変わりたい気持ちもある

私の中に信念はなく


何者にもなれないでいる

何者にもなれないでいる


そんなぼくが誰よりも好きで


そんなぼくが何よりも嫌いだ

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