異能が内在するこの世界で赤月白摩は頑張ります。

かざむき

第0話 昔々と言うほどではない

 昔々、というほどでも昔ではない。

 何なら最近の話。


 この世界には大きな戦争があったらしい。

 核レベルの兵器は銃弾のように投入されたとか、それすらも軽くいなすような怪物がいたらしい。


 最初に手を出したのは誰だだって?

 ロシア? アメリカ? それとも中国とか。そう言えば朝鮮半島の北の方かもしれないな。一部界隈で今でも議論されているが、まあ無駄な話。世界の南端で何かがあったと私は記憶している。


 まあ、始まりなんてあまり意味がない。重要なのは中身と結果だ。


 どうやら、十年間の戦争中、不思議な力を覚醒させる人がいたようだ。異能っていうのかな? 一部というか大半は暴走していたけど。


 でその内、馬鹿でかい龍や魔王やらいっぱい出てきて地上はもうテンヤワンヤ。黒い灰が世界を覆い、日の光は地上に届かない。異能を利用して阿保ほど深い地下に避難した人を除いてほとんどの人は死に絶えた。


 当たり前だよね。


 昨日の敵は今日の友。今日の友は明日の藻屑。

 戦闘機は蚊で、空母はデカいただの的。


 異能は科学を上回り、それを科学×異能が上回る。そして、そんなのをお構いなしと蹂躙する天性の怪物達。怪物には数を言わせて天才達が挑みかかる。


 そんな戦争も終わりを迎えた。どんな世界でもなんやかんやで秩序は来る。


 とある地域はチョー強い人が制定した。とある地域は全部死んだ。世界の端からは黒煙は晴れていった。

 結果としては国と言う概念がぶっ壊れるほど世界は破壊された。人工衛星はもちろん全滅。世界各地にあった地下避難所も地上の余波や内乱とかでほとんど消えた。結果、一部地域を除いて文明はほぼ衰退した。




 しかし、人々は凄かった。


 そしてそれから数十年。世界の各地には町が出来上がってきた。人々は逞しくかすかな記憶から文明を取り戻しつつあり、戦乱の原因の異能も戦争の終わりと共に急速に現れなくなってきた。

 まあ、現れなくなっただけだけど。内在自体はしてるんだよね。


 この物語はそんな世界のとある町の青年のお話。僕視点ではいろいろと爆弾を抱えた青年が警備隊員として頑張る話である。

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