第25話 一の島

side ある島の住人???


 側近の人や冒険者の人たちから指示がきた。


 そろそろ人が一気に増えるかもしれないから、受け入れ準備を頑張ってほしいと。


 人が増えればトラブルも増える。危険も増えるから気をつけろって。


 でも、どんなふうに受け入れすればいいのかなぁ?


side あるスラムの顔役の側近???


 リーダーがなにか考えるから、とか言っていたがこれがそうなのか?俺は頭を抱えながらもみんなに声をかけて回った。


 もう少しすれば昼という頃、空が光り輝いた。そこには文字が書いてあった。読み書きは得意ではないが、なんとかわかる。


 『驚くなかれ、今日から彼らはそなたらの隣人。彼らの最後のひとりが天空に戻るその日まで、そなたらは彼らの良き隣人として振る舞うことを望む、決して敵意をむけるでない、彼らは善き隣人である』


 自分たちの横にいきなり出現した存在。スケルトンナイト。スケルトンナイトたちは転移陣を指し示している。


 みんなで転移陣に向かう。転移陣から1人現れたと思ったら、あとからあとから増えていく。現れた彼らの身なりはひどく、少し前の自分たちと同じだと感じた。


 彼らはみな痩せ細っていたが、こんな状況にも関わらずとても落ち着いていて話しやすかった。ここがどこかも理解していて、騒いだり無闇に動き回ったりもしない。


 これだけの人数をどう食わせるか不安になったが、リーダーのおかげで肉だけはたくさんあるので、まず肉を焼いて配ることにした。


 ただこの後どれだけの人間がここに来るのかわからないので、ほんの一口づつになってしまうが。


 まずは集会所のあたりに土魔法でベンチを作ってとりあえず座らせ、コップをこれまた木から魔法で作り水を手渡していく。


 リーダーから魔法の手解きをうけてみんななにかしらの魔法が使えるのだ。そんなにたいした魔法じゃねぇが、リーダーはすごいすごいと喜んでくれるし、まぁたしかに役に立ってると思う。


 ベンチをどんどん増やし、10人ごとに座らせて簡単に事情を聞く。


 リーダーからは、人数を把握するためと暮らしやすくするためにも、聴取ったことは書きつけて仕分けしてほしいと言われている。


 この書きつける作業は冒険者の奴らが、仕分けを俺がとりあえずやんなきゃいけねぇ。


 リーダーから仕分けに役立つかもと、地図みたいなものを渡されている。言いたくなければ無理には聞かなくていいらしいが、どの国の人か、どこの領地からきたのか、きけそうならあとからでもいいと。


 やはり、今後国へ戻る者もいるかもしれないし。ずっと島で暮らすよりは新しい身元があり、姿を変えることもできるなら馴染みのある国や暮らしを求める者もいるだろうと言っていた。


 とりあえず職ごと、できる仕事など、聴き出して、すみわけるといいと言われている。どのみち、ここでも働いてもらうことなる。それなら得意なことがあればやってもらえる。


 あと、戦闘経験の有無、狩猟経験、農作業の経験、漁業の経験、鍛治、大工、医術。今後の生活に役立ちそうな能力を聴き出し、適材適所で働いてもらいたいとのこと。


 料理のできるやつもいてほしいし、魔法が使えるやつもいたら助かる。採取もできれば即戦力だしな。人数が多いということは、魔法が使えるやつもきっといる。もしかしたら、結構いるかもしれない。


 リーダーには個人の才能は後からでも開花するものだから、なんでも決めつけずいろいろやってみることを勧められている。


 リーダーから見分けがついて便利だろうと、腕に巻く布を渡されている。色がいくつかあり職ごとに色分けされている。聴き取りした内容ごとに布を渡して簡単な役割を与えていく。


 そんなふうに、みんなで手分けして受け入れ作業をこなしていく。


 それにしても、どんどん来るなぁ。


side ある帝国の若者???


 リーダーと島に着いた時には、受け入れがひと段落したのか皆静かだった。


 リーダーは、側近の人と冒険者の2人を呼び狩って来た獲物を渡す。かなり集落にも配ったはずなのにすごい量だ。


 おそらく、500体位はある。これだけ解体するのも大変だ。


 解体できる者はどれくらいいるか確認する。明日日が昇ったら解体だな。


 そのほか、採取できそうな者、海で作業できそうなもの、に声をかけている。


 幸い肉はいっぱいあるので、しばらくは保つと思うがまだまだ人が増えるなら足りなくなる。


 リーダーが二の島、三の島とほかにも島を用意しているから、すぐには食糧の心配はないとのこと。


 転移陣で二の島、三の島へ行けるようにしたから、気軽に行き来していいという。そんなに自由にさせて大丈夫か心配していると、スケルトンナイトがいるからと笑う。


 どうやらスケルトンナイトは、それぞれのフォロー役のほかに、ストッパーも兼ねているようで危ないことはやらせないし、近寄らせないようだ。


 作業などの邪魔はしないし、スケルトンナイトがいることで不安が和らいでいる者もいるみたいだ。たしかに慣れると相棒みたいな気がして心強い。


side あるスラムの顔役の側近???

 

 この島は、採取、とくに山野草やきのこ類が豊富。二の島は、果物と木の実。三の島は、平地が多いので耕してみてはどうかと、種を渡された。


 農作業するにも、土魔法で土を柔らかくし、石や根っこを取り除いたり、水魔法で水やりしたり、植物の魔法で成長を促したりしてみたらいいのでは?


 リーダー、あんたよくそんなにポンポン思いつくねえ。


 まぁいいや、とにかく片っ端から試してみるさ。

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