不具合自慢~その4 鼻の不具合?

 アレルギー性鼻炎から副鼻腔炎になり、脳ミソ半分状態で暮らしたのは、三十代はじめの頃。あれから、年を取るごと恒例の花粉症も治まり、難なく過ごせるようになった。アレルギー症状を起こす元気もなくなったと見える。或いは、居間に面したベランダの、春には黄色い花粉が舞うスギ科らしき植木が、経年で枯れ引っこ抜いたせいもあるだろうか。 “年を取ると花粉症は治る”と妄信していたが、どっこい!そうも行かない。このところ、春秋にはやっぱり鼻がぞわつくし、冬出かける時はマスクが欠かせない。凍える夜はガーゼのマスクをして寝ている。マスクがアイマスクになっていた朝は喉が痛くなり、そこから風邪へとなだれ込む。寒暖差アレルギーか・・鼻の粘膜までヤワになり果てた。

 大騒動したコロナも5類になった11波、夫が発熱し38・3度で、コロナ陽性。平熱35度の私も、36・8度の高熱?で動けなくなり、強烈なティートリーが、全く匂わない! 医者に行くと、案の定の陽性判定。食べる良し悪しは、賞味期限より、自分の鼻で嗅ぎ分ける私にとって、匂いの消失は死活問題。肉じゃがも、味噌汁も匂わず、ただ、甘い辛いがかすかに判るくらい。おしろい花も匂わない生活は、私たち世代にとっては、カラーテレビがモノクロに戻ったような味気なさ。ひと月くらい経った時、ティートリーがふっと匂ったような気がして・・匂いを思い出し、それから、浴槽に垂らすヒノキオイルの匂いも思い出し、少しづつ匂いが甦りはじめた。いや、待てよ、匂いの消失は、鼻の不具合より、脳の不具合と言うべきか。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る