第25話

 私は夜遅くなのにも関わらず会社にまだ居残り続けていた。

 しょうがない、初配信ですもの。


「概ね好調、良かったじゃない月見」


「はい!チーフ!」


 私は天野さんのマネージャーである。皆が羨む地位である男性の専属マネージャー。しかもあの超甘イケメンで性格もバチくそ良い彼のマネージャー。ここまで生まれてきて嬉しい事はないと思う。


「ただ一部では懐疑的な声とかも上がってるし、メンタルケアは怠らないように」


「はい!」


 男性はメンタルが強いっていうけど天野さんは繊細な心を持ってそうだし、なんなら私がその病んでるところに漬け込んで…

 っと危ない。犯罪者的な思考になってしまった。男の子を持つ親ってこんな感じなんだろうなぁ。天野さんとのこども...ふへへ


「私はもう帰るけど…どうする?一杯行く?」


「じゃあほんとに一杯だけ」


「おっ、初めてじゃない?ついてくるの」


「まぁいつも断ってしまってますから...」


 まぁ家に帰ってやることもあるけど今日くらいはね


```


「ってわけでぇ!あの社長はおかしいの!」


「は、はぁ。そうですか」


 来なきゃよかった...チーフ酒癖悪かったんだっけ...


「でもいいなぁ、天野くんの専属マネなんて」


「でしょ〜」


 あっやば。口滑った。


「ふつうにエロくない?」


「わかりますよ。実写も絵もくそエロいです」


 まさかチーフとこんな話になるとは...

 チーフの年齢は知らないが私の5個上くらいだから20代後半なのかな。会社では若干威圧感があるが飲みに来るとふつうにそこらへんの少し美人なOLだ。


「はぁ〜、天野くん彼氏になってくれないかな」


「彼は無理ですよ。家族のガードが硬すぎます」


「よね...一夜だけでもいいからだめかなぁ」


「ほんとに誘ったらセクハラですよそれ」


「わかってるわよ」




°°°



 家に帰ってきてやること...それは


ズズズズズ


 天野さんの写真を印刷して壁に貼り付ける事だ。

 今しょーもなって思ったでしょ。アイドルの写真貼り付けるのと同じ。どうせ結ばれないなら好き放題しちゃおう!って奴。今日は打ち合わせがなくて実写の盗撮はできなかったけど、配信中の笑顔とかは撮れたので満足満足。


 ふへへ、えっち〜。


 っといかんいかん。相手はライバー、私はマネージャー。欲なんか持ってはいけないのよ。

 って思いながら自分の担当の男性で致してない人0人説を推す。いや全ては天野さんには届かないけど。


 そういえば大学の友人に芸能関係で男性のマネージャーになって煽り散らかしてきた人がいたなぁ。

 いや、思い出さないでおこう。

 あの人はたしか担当が変わって地獄を見ているんだ。そっとしとこう。


 あぁ〜社会ってむずかしい。

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