混血
我が家の始まり。
それは神社を作った高祖であり、ただの狩人であった男が一柱の神様に見初められたことから始まる。
神様と契りを交わし、子を為した狩人。
その子孫こそが僕であり、僕たちの一族。
「……ぁ、あぁぁ」
その一族の中でも僕は先祖返りというに相応しく、自分の中にある神の血や力も遥かに濃い。
長い一族の歴史の中でも、僕はとびぬけているのだ。
「ふぅー」
元より半人半神として生まれた僕は己の比重を人から神の方へと傾け、その力を存分に引き出して見せる。
今の僕は武器庫やダンジョンでの身体能力向上などと言った人として、探索者として得た力を使えなくなっている状態である。
「……最悪だな、本当に」
神薙さんはずっと、僕が言ったとおりに視線を下の方に下げ続けてくれていた。
そのおかげもあって彼女には何ら影響ないが……アルファをはじめとする子供たちは別。
男性の、一番最初の攻撃の段階で神の力を見てしまった子供たちはもう精神汚濁が始まってしまっていた。
「はぁー」
僕は今なお荒れている男性のことは一旦無視してアルファたちの方に近づいていく。
「……ぁ」
「……失礼するよ」
精神汚濁が始まってしまったのならしょうがない。
信仰心を植え付けながらも、それでもしっかりと当人の思考能力と記憶が残るようにはしていこう。
「ある、じ……様?」
「僕を神としてくれていいよ」
僕はアルファの頭を優しく撫でながら、神としての存在感で彼女の精神を蝕んでちょっとずつその在り方を捻じ曲げていく。
彼女が致命的な廃人にはならないように。
それをアルファだけではなく、この場にいる
「……お前も一応しておこうか」
僕のことを見ながら呆けている少女。
アルファに様々な器具を刺して実験を実際にその手で行っていた少女の精神にも触れて彼女が廃人にはならないようにしてあげる。
「まぁ、こんなものでいいでしょう」
神に人間の意志を変える力なんて持たない。
普通は神を人が見れば精神的に破滅し、廃人となるのが確定的となるが……僕の力は単純に半神であるために低く、ちょっとだけ融通が利く。
今、やったのは自分の存在感を微調整することで彼女に与える影響をわずかながらに変えてみせたのだ。
これだけでもかなり大きい。
「それじゃあ、見てて。ちょっと僕が悪い悪い神様をとっちめてくるから」
子供たちのメンタルケアをちょっと特異な方面で終わらせた僕は、改めて神の力を暴発させている男性へと向き合うのだった。
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