子供たち

 イキシアの出現によって大きな混乱と恐怖が子供たちにもたらされたのだが、それも何とか時間をかけてほぐすことができた。


「落ち着いたか?」


 僕はゆっくりと今、目の前にいる子供たちへと声をかける。


「は、はい……大丈夫です」


 子供たちに向けた僕の言葉に対して、その代表としてこの中で最も年齢の高い少女が答える。

 ……確か、名前はアルファとかだったかな?


「それならよかったよ、アルファ」


 先ほどしてもらった自己紹介のことを思い出しながら僕は彼女と言葉を交わしていく。


「それで……?えっと、何を聞けばいいのだろうか?」


 僕は目の前にいるアルファを前で首をかしげる。

 色々と聞いたいことがありすぎてまずは何を聞けばいいのか悩む。


「んんぅー」


「な、何でも聞いていいですよ?わ、私たちには拒否権とかが何もありませんのでぇ……本当に何でも聞いてくれて大丈夫ですよ」


「……」


 僕はアルファの前で質問を固めていく。

 どこから順番に聞いていくべき、だろうか。


「よし。それじゃあまずは最初の質問」


「は、はい……どうぞ」


「僕たちはこの世界について何も知らなくてね。目を瞑っていて、次に起きたらもうすぐに自分の知らない場所だったのだよ。だから本当に何の情報もなくて。まずは君がこの世界について知っていることを教えてくれない?本当に何でもいい。君がこれまで生きてきた軌跡とかでもいいよ」


「し、知っていることですかぁ……?わ、私たちはほとんど、何も知らなくて。え、えっとですね。私が生まれたのは───」


 僕の疑問の言葉にアルファが答えようとしてくれていた途中で。


「……っ」


「……?」

  

 僕は人の気配を感じて視線を階段の方に向ける。


「……誰か来るな」


「えっ!?」


 僕の言葉にまずはアルファが驚きの声をあげ。


「……ぅ、あぁ……嫌だぁ、怖いよぉ……!」


「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああああああああああああああああ」


「い、いやだ……嫌だ……嫌だぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああああああああああ」


 そして、それに続いて周りの子供たちも動揺の声を上げていく。

 

「大人だね。二人とも、いつでも戦えるようにしておいて」

 

 そんな中で、僕は子供たちを放置して神薙さんとイキシアの二人に声をかける。

 それにしても、ここまで子供たちが怖がるとは……何をやっている奴らなのか。


「了解です」


「きゅーいっ!」


 僕の言葉に神薙さんとイキシアが頷くと共に、自分もいつでも武器庫から武器を取り出せるように構えるのだった。

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