「─詩─ 紅炎」

織田 由紀夫

「紅炎」

「紅炎」


アイツは いつだって急にやって来る


限りなく 絶望に近い熱を帯びて


夢の中でそいつは言った 死ほど自分を表現出来るモノは無いと


お気に入りの曲を聞いた所で 気分は最悪さ

双極性障害は 俺の脳を蝕む


アルコール依存症は お前の体を騒めく

震える指で ギターに向かいあう


それは あの娘にも想像できないだろう?


アルバムを開いた所で 俺の時間は止まったままさ


どうしたって 普通じゃ いられない


フエードアウトの怖い所は ドロップアウトよりも悲惨な事さ


夢も希望も失ったアイツが言ったんだ

何で地球は丸いのかって


頭の中じゃ 星が回ってるのさ

本当の所は 俺にも理解出来ない事だらけなんだ



宝物は 一枚のレコードだよ 

この中に俺とお前の全てが詰まってる


一つ言える事は 誰のせいでもないって事かな

でも運命なんて カッコいい表現は 俺は好きじゃない



お前のギターの音が聞こえる 俺の声が響く


あの時の音は 今でも俺の中で鳴り響いている

遠く離れてたって それは変わらない



いつも夢見てるんだ お前の隣に居れる事を

昨日 電話が鳴ったんだ

あの娘は泣いていた


お前にしか見えない景色を 教えてくれ

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

「─詩─ 紅炎」 織田 由紀夫 @yukio-oda

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ