第9回「アルバイト」

A「ようやく漫才で食えるようになってきたな」

B「辛うじてな」

A「色々バイトを掛け持ち掛け持ちでやってきたけど、イベントに呼ばれるたびに軽くバイトを休まないといけなかったから都合の良い働き先を見つけるのが大変だったよな」

B「でも最近は外国の人が働きに来なくなってるから人手が不足気味らしくて前よりは働き先も見つけやすくなってるみたいだな」

A「ところでこれまでどんなバイトやってきた?」

B「色々やってきたよ」

A「例えばどんな?」

B「介護福祉士、パティシエ、おもちゃ工場スタッフ、ぽん酢工房スタッフ、ヘア&メイクアップアーティスト、パフューマー」

A「キッザニアか」

B「おもちゃ工場スタッフが大人気で入れてもらうのが大変だった」

A「子供の為の施設の中の子供の為のパビリオンだからな」

B「マジですごいよな。子供目線での夢盛りだくさんな明らかに人気の職業だけじゃなくて介護福祉士みたいな地に足の着いた身近なやつまであるからな」

A「意外と身近にいるし、介護福祉の人を自宅に呼ぶ人もいるからな。もしかすると今一番目にする職業なんじゃない?」

B「キッザニアはすげぇよ。なんでも揃ってる」

A「いや、バイトの話だよ。ある程度職能が求められる仕事はバイトにはなりにくいんだよ」

B「バイトと言えばあれだな、イベント系とか好きだったな」

A「設営とかクロークとかだな。設営の方が時給が良いけど、クロークはクロークで色出会いがあって楽しいんだよな」

B「パー券売る方やってた」

A「今時じゃないし、そもそもそれってバイトではないだろう」

B「分け前を渡されて、それを売り切らないといけないんだよな」

A「俺らも似たシステムでイベントに関わる時があるけど、それはバイトとは言わないだろ。そうじゃなくて、飲食でホールやってたとか、コンビニでレジ打ちしてたとか」

B「飲食でホールやってたよ。ミシュランの店で」

A「言うなよ、その店に失礼だろう。ってかミシュラン取るような店にバイトとかいるんだ。ところでさっきから職能が必要そうな職種ばっかだな。どうなってるんだよ?」

B「まぁこう見えてなんでもできちゃうからな。なんでもできちゃうと言えば、サッカーの主審のバイトが一番大変だったかもな。サッカーのルールを良く知らないけどさ、知人に頼まれて吹いてきたよ」

A「それはすごすぎるだろ。あれって走る位置を考えたり、オフサイドを見たり、選手同士の当たり具合を見たり、荒れそうならプレーを止めたり、色々見なきゃならないだろう。良く未経験でできたな」

B「観客の顔を見ながらやればだいたい何とかなる」

A「一番見ちゃいけないところだろう。自分のチームに有利なような雰囲気しか出さないんだから」

B「そういうお前はどんなバイトでつないできたんだよ?」

A「一番稼げたのはパパ活かな」

B「どこに需要があるんだよ」

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