鬼な守護者になりまして

@kaguya0819

第1話 鬼の孤独

ああ退屈だ。 

自分は何なのだろう。

自分の周りに頭に角をはやした人型の2~3mの者たちがかしずいている。

中には4~5mを超える者もいる。

そんな、巨躯を持つ者たちが2mに近いがオーガという生態においては決して大きくない、なんなら小柄な自分にかしずいている。

自分にはわかる。本能か直感かは分からないが分かる。私は彼らより格が上なのだろう。

やったことはないが、殴り合いにおいてもこの集落で最も体格が大きいものにもおそらく勝ててしまうだろう。

集落で生まれて間もない自分がだ。まるで、神にでもなっているかのようだ。

だが、あまりいい気分ではない。自分が片手で号令をだすと今までかしずいていた者たちが次々とその日の営みへと帰っていく。

ある者は人を襲い、ある者は人を喰らう、ある者は森で狩りを行い飢えをしのぐ。

 そして、自分は考える。自分と周りは何が違うのだろう、人を喰らうことに嫌悪感を抱いていることだろうか、よく分からない。

いたはずの兄弟や父は、他のオーガと混ざってよく殴り合いをしている。利害が一致しなかったのか、ただむかついたのか、自分には分からない。

ある日、集落の誰かが襲った人間の荷物を運んできた。

その中には、本などがあった。このあたりの地図などもあり心が躍った。

退屈な霧がかった世界が開けていくのを感じた。

本を読むことには、苦労したが世界のことを知ることができた。

それから1~2年後、自分は集落を捨て脱走した。


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