理想のスキルと仲間編
第9話 青空の中で素敵な目覚めを
「う、う~ん」
「おはようダンテ氏。よく眠れたかい?」
意識がボヤっとする。
確か……俺はロウヒと一緒に村から逃げて、空を飛んで。
「あれ、俺いつの間に寝てたんだ?」
「私と自己紹介を後、ちょうど10分後にグッスリとしていたよ」
レオナの声を聞いて意識が覚醒する。
窓の外には青空。
俺達はまだ空を飛ぶ逃避行の最中らしい。
チラリと後ろに視線を向けてみる。
ロウヒはまだ寝てるみたいだな。
まぁ、そもそも深夜まで二人で話してその後村の冒険者達と戦ったんだ。
疲れが溜まって当然だろう。
「そう言えば、レオナはずっと起きていたのか?」
「ああ、心配には及ばない。君とロウヒ氏が話している間に仮眠を取っているからね」
仮眠を取ってるって……ロウヒがスキルで作った黄金の沼の中だよな。
もしかして以外と暮らしやすい所なのか?
それならロウヒが集めた昔の武器とか服とか見るのも楽しそうだな。
出来れば……一週間ぐらい。
「長居するのはオススメしないとだけ忠告しておくよ」
「へ?俺何か言ったか」
「顔に書いていたよ」
永住しそうな勢いで怖いと言いながらレオナはじっとこっちを見ていた。
いやいやいや、永住とか流石にしないって。
多分。
「さて、冗談はここまでにして。これからの話をしよう」
「たしか、【ドールカルト】だっけ?その拠点に行くんだろ」
「最終目標はそれだ。でも、あの村から拠点までぶっ通しで空を飛ぶのは私のスタミナが持たなくてね。この乗り物を操縦しているアーミードールが途中で棺桶に戻ってしまい、我々は墜落してしまう」
さらっと言うなよそういう怖い事を。
「だからこそ、帰りのルートに中継地点となる場所を用意している。今から行くのはそこだよ」
「なるほどな」
レオナの言葉に相槌を打ちながら、俺は改めて窓の外を見る。
見慣れない景色だ、きっと馬車を超えるスピードで前に進んでいるんだろう。
それに、空を飛んでいるって事は地形に左右されずに進めるという事だ。
最短距離でその中継地点とやらに向かているんだろう。
「さてダンテ氏。中継地点到着まであと2時間ほどかかる。私はこの時間を有効に使いたい」
「まぁ、そうだな。2時間って結構な時間だし。と言っても何するんだ?」
この乗り物の空間は狭い。
何かしようたって大掛かりな事は出来ないだろう。
「親睦を深めようと思っているのさ。聞いた話によるとダンテ氏は歴史書を好んで読むようだが、やっぱり詳しいのかい?」
「詳しいって程でも無いと思うけどな。あ、でもロウヒが活躍してた魔王関連の話は結構面白くてだな。これは触りだけでも全人類に知って欲しい」
「ほほう。中々の熱量」
あ、しまった。
またやらかした。
自分の好きな話となるといつもこれだ、絶対早口になる。
気を付けないと。
幸い、レオナはあんまり気にしてなさそうだ。
ここから慣れていこう。
「では、ダンテ氏は七背の1柱であるヴォイニッチについても詳しかったりするのかい?」
「もちろん。確か二つ名は妄信の賢者だったよな」
俺がそう言葉を返したその瞬間、レオナの眼鏡がキラリと光った。
「おお!!やっぱり詳しいのだなダンテ氏は!!よかったら、彼についての話や逸話を聞かせてくれないかい?」
「あ、ああ。俺が知ってる事なら何でも話すよ」
「おぉぉ。話が早い」
レオナの言葉が熱を帯びていくのが分かる。
彼女は何処からか取り出した紙とペンを持って俺の瞳をじっと見つめる。
その目から感じられるヴォイニッチへの熱意は、ある意味狂信にも近い何かがある。
それはまぁ良いんだ、俺だって同じ様なものだからな。
でも……こんな事俺が言うのもアレだけど……ほんの少しだけ落ち着いて欲しい。
だってさっきからちょっと揺れてるからな、この乗り物。
レオナが興奮する度に操縦が雑になってる様な気がする。
「実は、私は彼のファンなんだ!!私にとっての神と言っても良い!!」
「分かった、分かったから!いったん落ち着いてくれぇぇ」
墜落しそうで怖いって!!
うっわ揺れた。
いや、もう、本当に危ないからぁぁぁぁぁ!!!!
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