第54話  名品の刀装具亡失危機 

刀装具は拵えの大きさになると場所を取りますが、個別の作柄ではその小ささからタンスの中や引き出しの奥に仕舞いこまれると中々発見が難しそうです


購入した当事者や所有者ならば品物の価値は当然分かっていますから扱い方は宝物として大切にされます

ところが、全く興味の無い人間がこれらの刀装具を初めて見た場合の感想はどんなものでしょう?

十中八九、興味の無い人間からしたら町彫りの品物ならば一瞬目が留まって見るとは思いますが、殆どはスルーしてしまうでしょう

鉄鐔に至っては汚い、ただの鉄の板としか見えない事でしょう

引き出しにそのままポイッと入れられて忘れられてしまいます


所有者の大部分は家族には黙ってコレクションしたり、品物の価値を教えていないでしょうから万一所有者が何かあった場合にはシッカリと後の防衛策を考えておかないといけないと思います


先日も刀剣刀装具を収集するのが趣味だった高齢の方が亡くなられて、ご家族が持ち物を処分をする際に知り合いの方から数寄者の方を紹介されたそうです

この紹介された方がまともな方ならば適正な値段で購入したり、別の業者を紹介して納まるべきところ、然るべきところへ行くはずだったのですが、そうはなりませんでした

つまり、ご家族の方には刀や刀装具が武器として使われてきた人殺しの道具で縁起が悪い、とか呪われるとかの言葉を織り交ぜながらタダ同然で、処分代を取って持ち去ってしまったと聞きました


品物は良かったのでまんまと審査に出して、先日重要審査に通ってしまったようです

こうなると本当に所有していた本人もご家族も浮かばれません


刀剣刀装具に限らずこの手の話はよく聞きます


百万以内の品物ならば別に問題は少ないでしょうが、それらを超える場合にはご家族にも話を通しておく方が良いと思います

そうすれば次の方が安全に名品を楽しめますし、世間から亡失してしまう危険も格段に下がります

金銭で置き換えるのもイヤらしい話ですが、置き換えて話をしないと価値を知らない素人では想像も出来ません


最近はネットで手続きをする事が当たり前です

今月は確定申告の月でしたが、国税局はe-TAXで申告業務をするように頻りに誘導しています

確かに間違いも少なくなりますし、人工も減らせますから進めたいのでしょう


ネットで手続きをする弊害はパスワードや二重認証、指紋認証、果てはスマホでも顔で本人識別するようになってきていますから、本人以外が機能を扱えなくなっているようになっています

銀行口座、ネット証券、仮想通貨口座に至っては複雑なパスフレイズを失えば本人であっても天文学的な金額をロストしてしまいます

万一、本人がしばらくアカウントをそのままにしていてそれらのパスワードを忘れてしまったら二度と陽の目を見る事が無くなります

まだ余りニュースにはなってはいませんが、これからはそうした預金やアカウントが急拡大すると思われます


大リーグの大谷選手のパスワード二重認証問題は金額もデカいので別次元なのですが、信頼のおけるご家族にはキチンと筋を通して、先ほどの美術芸術品であっても、やはり周囲にはそれとなく伝えて置かないといけない時代になってしまったのだと理解して賢く防衛出来るようにしないといけません










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