第18話 違うところに泊まれ
早速三人は御神木の近くに向かった。
アウルは御神木の根本すぐ近くに座り込むと、荷物の中から大きな水晶を取り出す。そして、目をつぶって何やら長い間ブツブツ呟き続けた。
しばらく続け、ようやく立ち上がると、クロウに向かって言った。
「この木は健康体だった。雷のみで折れちまってる。だから、雷が落ちた日までだ」
「うーん。すると、今回は三日くらいかな?」
「多分な。頼めるか」
「オッケー。まあそのくらいかなって予想してたし」
二人はジャスには全くわからない話をする。
「じゃその件村長さんに伝えてくるね。御神木に魔法をかけるのは明日?もう暗いしね。村長さんに今日泊まれる所ないかも確認してくるよ」
そう言って、クロウはスッと消えた。
「依頼は受けるんだな」
ジャスは確認する。アウルは短く「ああ」とだけ言うと、そっと御神木に触れた。
「確認ができたからな。ちゃんと元の大木に戻してやる」
それは、魔法使いとしてのプライドを表明するかのような強い言葉だった。
「本当に、生き返らせることが出来るの?」
ジャスは以前クロウが言った事を思い出す。クロウは「そんな事出来る訳がない」と言っていたが…。
「生き返らせる事はできる。まぁ実質は生き返らせる魔法じゃなくて……」
アウルが説明しようとしたが、途中で言葉を止めた。
「まあ、うまく説明できねえから明日実際見せてやる」
クロウはすぐに戻ってきた。
「この村、宿泊施設ほとんど機能してなくて汚いから今日は村長さんの家に泊まってだってさ。行こう」
「わかった」
アウルはそう言って、クロウに付いていく。ジャスも一緒に行こうとしたが、スッとアウルに止められた。
「テメェは今日違うところに泊まれ。三人一緒は多分狭えからな」
「え?ど、どこに泊まれば……?」
「んなこと自分で考えろよ。さっきの女のことでもいんじゃねぇか?」
アウルは素っ気ない。その様子にクロウも首を傾げる。
「どうしたのアウル。ジャスくんこんなとこ置いていく気なの?可哀想でしょ」
「いいんだよ」
そう言ってアウルはすぐにサッと消えてしまった。困った顔をしながらも、クロウもアウルに続くように消えた。
「自分で考えろって、そんな無茶な……」
ジャスはひとり残され途方にくれてしまった。
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