第12話 便利なやつだ
もう深夜になった。
アウルは明日の準備をある程度終え、あとは明日の朝でも大丈夫だろうと寝る準備に取り掛かろうとした。
そういえば部屋の片付けの方はどうなっただろうか。
アウルはさっきまで大いに散らかっていたはずの部屋のドアを開けた。
「ほう!」
目を見張った。中は見事に片付いており、片付けだけでなく掃除もされたようで、むしろ以前より綺麗になっていた。
そして、綺麗になった部屋の隅で、ジャスが雑巾を握りしめたまま、疲れ果ててしまったように丸くなってて寝ていた。
「こんなところで寝てんじゃねぇ」
アウルはジャスを軽くつついた。しかしジャスは熟睡してしまっているようで、うーん、と声を上げただけで全く起きない。
「ったく」
アウルは舌打ちを一つして、魔法でジャスを持ち上げる。そして上等な毛皮で体を包んでから、ジャスの部屋に飛ばした。
ガコッと、大きな音がしたので、少し乱暴に布団に置いてしまった気がするが、まあ毛皮に来るんであるから大丈夫だろう。
改めて部屋を見渡す。
「やるな、あいつ」
キレイになったことに関心したのはもちろんだが、今朝まであんなに噛みつかんばかりの態度を取っていたわりに、頼めばこうも丁寧な仕事をしてくれることに感動すら覚えている。
「便利なやつだ」
アウルはニヤリとわらい、自分も寝る支度をまた再開するのだった。
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