僕は

ハルジオン

僕は

 ある日、親戚の家族が亡くなった。


 小学生の子供を残して。


 僕はいつもその子と遊んでいて、よく笑う子だったと覚えていた。


 そしてお姉ちゃん子でよく一緒について回っていたっけ。


 ずっと泣き続けていて、今は僕の母親に抱き着いて眠っている。


 父親の方は親権はどうするとかあの子の事はとかを見たこともない親戚の人と話し合っていた。


 あの子を見て、何とも言えない感情になりこの日を終えた。


 あの子は僕達の家で暮らす様になった。


 僕はいつもの様に遊びに誘うが、ずっと家族の写真の前から動こうとはしない。


 ご飯とトイレとお風呂の時は動くけど、その他は誰が言っても動こうとも話そうともしなかった。


 数日が経ち、夜にトイレで目が覚めるとあの子がいる部屋から声がしていた。


 「お姉ちゃん、パパ、ママに会いたいよ」


 そう言って泣いていた。


 「もうわがまま言わないから戻ってきてよ」


 もう死んじゃってるんだよ、だから会えないんだよ


 僕はそう思って、近づきそばに座ると。


 「お姉ちゃん来てくれたんだね」


 あの子が抱き着きそう言った。


 「お姉ちゃん、わがまま言わないし好き嫌いもしないからずっと一緒にいてね」


 涙を流し声が震わせながら言った言葉に安心できる様にこう言った。


 「大丈夫だよ。お姉ちゃんはここにいるよ」


 あの子は安心したのかふふっと笑いながら


 「良かった」


 と言い抱き着いたまま眠りについた。


 僕はこれで良かったはずと思い一緒に布団に潜った。


 その日からは僕とあの子は一緒に眠る様になった。


 まだ写真の前から動かないし、しゃべらないが寝る前になると僕のとこに来るようになった。


 そして泣いているこの子のお姉ちゃんの替わりをしていた。


 寝ているときにお姉ちゃんと泣いているこの子を抱きしめ、私はお姉ちゃんですよと言い続けて1週間後、朝起きると女性になっていた。


 あの子のお姉ちゃんと変わらない姿に、あの子はお姉ちゃんが帰ってきたと大喜びして抱き着いてきた。


 僕は急なことに驚いたがこの子が笑ってくれるならと変わらずこの子を撫でていた。


 両親も驚いていたが、この子を見て笑うようになった事に微笑んでいた。


 僕は少し忙しくなり、いろいろしていて帰ってくると、写真の前に座っていた。


 僕が近づいてみると泣きながら抱き着いてきてどこにも行かないでと何度も言われ、ごめんねと言いながらこの子を撫でていた。


 僕は高校生だったが退学して一緒にいる事にした。


 両親は反対したが、あの子の事を考えるとずっと一緒にいないとと思いそうした。


 僕の考えに最終的に納得してくれた。


 そうして一緒になり、2年が経った頃あの子は学校に行く様になった。


 あの子は前を向いて歩ける様になった。


 ただ私はあれから一緒にいたせいか、なんだか寂しくなった。


 弱くなったなぁ。


 このままじゃあ、あの子と変わらないじゃん。


 涙を止めようとハンカチを当てるが止まってくれなかった。


 そうして2年が経ち、あの子も中学生になった。


 この2年であの子は私に近づかなくなっていた。


 近づいていくと、顔をそらしどこかに去っていく。


 ねえ、ずっと一緒にいようねって言ってくれたのに、どうして?


 私は何なんだろうね?


 ここ最近頭がぼーっとする事が増えていった。


 またあの子と一緒にいたいなぁ。


 そんな事が頭の中でぐるぐるしていた。


 今日はあの子の卒業式らしい。


 お母さんがそう言っていた。


 他にも何か言われていたが、あまり覚えていない。


 あの子の声が聞こえてきた。


 何で?

 

 何で頭を撫でられてるの?


 何で笑いかけてくれるの?


 何で私に優しくしてくれるの?


 何でずっと一緒にいようねって言ってたのにいてくれなかったの?


 何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で


 え?


 そんなの決まっているって?


 私の事が好き?


 ずっと一緒にいるから?


 私はどうなのかって?


 私は…僕は貴方の事が


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僕は ハルジオン @haruharutubuan

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