第2話


「すみません」


 少し、濃い茶色をしたアンティーク調な扉がゆっくりと開いた。


「どうなさいましたか。」


 この探偵事務所は、基本的に閑古鳥が鳴いている。

 故に、来客など珍しいのだ。だから、彼は依頼ではなく、要件を聞いた。


「依頼ですよ、探偵さん。ここは、依頼した通りの結果にしてくれるって言うから。」


「えぇ、まあ。」


 曖昧とも、謙遜とも取れる返事は、どうやら肯定とみなされたようだ。


「とりあえず、そこにおかけください。」


 そう言って、探偵はゆっくり茶を注ぎ始めた。助手などいない。わざわざ、なろうとする奴の方がおかしいだろう。



「それで、これが今回の事件です。」


 そう言って、一冊のファイルが、机に置かれた。

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