第6話

 しかし葉月と佑にまつわる話ーー2人で映画を観に行ったことや2人で家で遊んだことーーは、それでも私の耳に入ってくる。葉月には雨宮くんという彼氏がいるのに、佑と浮気しているのではと私は考えた。雨宮くんがかわいそうだとも思った。

 ある日、佑にLINEしてみたけれど返信が来ない。既読もつかない。嫌な予感がして、ブロックされていないか調べてみると、佑にLINEをブロックされていた。

 トイレから戻るとき、教室前で佑と石森くんが話しているのが聞こえてくる。どうやら私の話をしているようだ。

「いやー、あいつマジで無理。俺が他の女子と話すとすぐ泣くし、彼女でもないのに勘弁して。どうせ悲劇のヒロインになってみんなに心配されたいだけなんだろ。マジでだるすぎてLINEブロックしてやったわ」

佑が吐き出すように言うと、石森くんは

「佑に嫌われてるんじゃないかって俺にもLINEきた。面倒くさかったから適当に返しといたけど。マジでストーカーかよって感じだよな。佑もお疲れ」

と返している。私の悪口で盛り上がっていた。

 今思えば、なぜ佑に3年間も片想いしていたのかバカらしくなってくる。仲良くしていたのに悪口を言われていたことがショックで、毎晩泣いていた。死を考えたこともある。葉月もそんな残酷な人だとは思わなかった。



 この春、私は中学校を卒業して高校に進学する。葉月や佑とは違う高校に行くことになった。佑が他の女子と話すだけで嫉妬して泣いていた私は、やはり未熟だったと思う。高校では未熟な自分とはお別れして、より良い友人に出会えるようになりたい。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

スタートライン 高坂 美月 @a-tmm1209

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ