RE 来世でも、君といられたら。
月島ノン
第1話 異世界転移
土砂降りの中、橋の上で男女二人が抱きしめ合っている…
「レド様…誰よりもあなたを愛しております…」
「俺もだよ…サヤ。来世でも、添い遂げることを誓ってくれるか?」
「もちろんでございます…私からも言わせてくださいませ。死を乗り越えても、私を愛してくれますか…?」
上目遣いでそう尋ねる姿に、レドは胸を撃たれた。
「聞くまでもないだろう?誰よりも、君を愛するよ…!」
二人は橋の下を覗き込んだ。
五十メートルほどの橋からの景色は、闇に包まれている。
「ひゃぁ…足がすくんでしまいます…!」
「大丈夫、俺がいるよ…さぁ、行くぞ…黄泉の国へ!!」
二人は、闇の中に吸い込まれていった…
……………………
眩い純白に包まれた空間で、レドは目を覚ました。
「ここは…黄泉の国か…?」
「いいえ、残念ながら違います…ここは、世界の狭間と呼ばれる場所です…」
声の方を向くと、翼が生え…紫の瞳の美しい女性が立っていた。
「誰だ、妻はどこにいる?」
「落ち着いてください…あなたの奥様は、私の世界に居られます…」
レドは言葉の意味を探り、尋ねる。
「…あなたは神の類か?」
そう言うと、美しい女性は頷く。
「私は、あなたが居た世界とは別の世界の神…ヘレナ。」
「マルチバースが存在しているだと…!?あれは根拠がないものでは…いや、それより無礼を働いた。ヘレナ神、申し訳ない…」
レドは頭を下げる。ヘレナは微笑み、それを許した。
「良いのです。では、奥様の話をいたしましょう。奥様は二十年ほど前、私の世界に降り立ちました。」
「妻が生きている世界があるのか!?」
「はい…しかし、あなたと添い遂げた記憶はございません…」
「なっ…!?」
レドは、驚きとショックを隠し切れなかった。
心から愛し合った妻の記憶がない…これほどまでに、残酷な運命はないだろう。
「しかし、生きているのだな?会えば思い出してくれる可能性が…」
「魂があなたを憶えていたら、それに呼応して思い出すことも…あるかもしれません。必ずとは言えませんが…それと、これを見てください。」
女神が指さす方には、ある映像が映し出されていた。それには…
「サヤ…!?」
サヤの姿が。
しかし、他の男性と仲睦まじそうに過ごしている様子だった…
「奥様です。記憶がない...すなわち、他の男性と添い遂げる可能性もございます…」
「人として生きているのであれば、可能性はあり得る…ヘレナ神、俺を世界に送ってくれ!」
そう言うと、ヘレナは微笑みこう言った。
「異世界を生き抜くため、あなたに一つ…’’スキル’’を与えましょう。望む力はありますか…?」
レドは長考の末、一つの力を選んだ。
「なんとしてでも、妻を守りたい。左手をかざすと、一定範囲にシールドが出せる…そんな力は無理だろうか?」
「シールド…それが望む力でしょうか?」
「ああ。できれば、大きさは調整できるようにしてほしい。」
女神は頷いた後、手を掲げ一筋の光を創った。
「これに触れるのです。そうすれば、この力と共にあなたを奥様の近くに送ることができます。」
「ここまでの説明、感謝する。それでは…」
光に手を伸ばすと、レドはより一層暖かい純白に包まれ…その場から消えた…
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