創作者の性

『ストイック』


これに尽きる気がする。


とことん調べる探究心も、簡単に妥協しないことも、要は、強い気持ちで物事に向き合い、自らに厳しく、努力を惜しまないということ。

これは、作品に対する思い入れの強さの現れなんだよね。

だから創作者はストイックだと思う。


ただ…創作界隈の外では首を傾げられることも多い。

なんでそんなにこだわるの? 趣味ならもっと気楽にいこうよと。

いえ、この苦行さえも当人は楽しいんです。

この点が、一般(?)の人には理解し難いらしい(笑)


でも、このストイックさを他者(読み手)に求めてはいけないと常々思う。


SNSで時々取り上げられる話題だが、物語の細かい世界設定を物語にガッツリ書くとか、フィクションにリアリティを求めすぎるとか…。

このストイックさは作者の一方的な都合で、読み手には一切関係ない、と私は考える。

最悪、読み手にとって『煩わしい』になりかねない、とね。


考えてみて?

小説を読むときに世界設定を細かく覚える?

というか、逐一覚えるような作業をする?

それをする人はいるかもしれないし、いないかもしれない。

設定を覚えない読み手は、物語を楽しむ資格なし?


例えば、スタウォーズは人物設定や世界観が細かいよね。

私は、映画冒頭に流れる文章のプロローグをすっ飛ばして観てた。だって映画は観るものという先入観があったし、なにより読むのが面倒臭いから。でもそれなりに楽しめた。


スターウォーズは、プロローグを読まなくても『何となく』分かるように作られてたと思う。

この『何となく』は、物語の構成として重要だと思うんだよね。

物語を詳しく知りたい人は読めば良いし、楽しめれば良いだけの人なら読み飛ばしても問題ない。


観る側の、読む側の自由。


スターウォーズが子どもから大人まで楽しめるのは、この自由があるからだと思う。


もちろん書く側にも自由はある。

読み手(ターゲット)を絞るのも自由。書きたいものをすべて詰め込むのも自由。

ただし、たくさんの人に読まれるかどうかは分からない。

同じ趣味嗜好の人が大多数いるのなら、自分が満足する結果を得られるかもしれない。そうじゃないかもしれない。


『好きなように書きたい』

『たくさんの人に読まれたい』


この二つの気持ちは、創作者の誰もが潜在的に抱える性かもしれないね。



物語のリアリティについては、さじ加減が重要だと私は思っている。


そもそも小説は、何かの知識を深めることを目的として読むものではない。

上記で書いた細かい世界設定にも通じるが、そのリアリティの追求は物語と読み手にとって重要?


スターウォーズの例題に戻るが、宇宙空間は空気がないから本来は無音なんだってね?

宇宙の戦闘シーンが無音…って楽しい? 私はまったく楽しくない(笑)

そんなリアリティの追求、観る側はどうでもいい。だって戦いのシーンを楽しみたいから。宇宙空間を楽しみたいわけじゃない。


小説も似たようなことが言えると思う。

物語の目的から外れるリアリティをあえて書くとき、そこにはどんな理由があるのだろう?


注意したいのは、リアリティを疎かにしすぎないこと。

作者の都合に合わせた飛躍しすぎる話は、読み手を興醒めさせる可能性が高い。

「いや、ありえないでしょ(苦笑)」ってね。

たとえファンタジーであっても、リアリティを感じられないと、読み手は物語の世界に入っていけない。


上手に嘘をつくことこそ、作者の腕の見せどころだよね。

(私がそれを出来てるとは言ってない)


作者は物語に深み(リアリティ)を持たせるために、設定を作り込む。

でも、設定をすべて書く必要性はあるのだろうか? 私はそれほど必要ではないと思っている。

物語にとって重要な情報、読み手にとって必要な情報、それを適時適所に書くだけで事足りる。


私は仕事柄、ライターもどきをしているので読み手の心理をよく考える。

なぜって、私の書く記事=新規契約に関わるから。だから毎月のアクセス解析と問合せ件数の結果が重圧(白目)


話を戻して……

読み手は、読むことにストレスが掛かるとその行為をやめる傾向にある。

まぁ当たり前の話なんだけど。

特に小説は娯楽だから、無理をしてまで読む必要はないよね。


だからこそ、リアリティはさじ加減が重要。


と、こう主張してきてなんだけど…知識のある人が気づく「あ! これは…」を自然な形でサラッと書くのはアリだと思う。

物語には重要ではないけど、知ってる人だけが楽しめる秘密的なもの。

実は、自作『天使と悪魔の諸事情』にも書かれている。知識のある人だけが気付く設定。何が書かれているかは秘密♪


さて総括すると

作者がストイックであることは必要かもしれない。しかし、それを読み手にまで押し付けてはならない…と私は考える。


小説は余暇を楽しむツールの1つ。

創作者の性は、自分でコントロールしないといけないと思う。創作者の『心』を守るためにもね。


もちろん書くことは自由。

物語に付いて来られる読み手だけで結構です、でも何ら問題はない。


私はこんな考えを持っているから、読み手を離さない作品を書き続ける作家さんは本当に凄いと思っている。


ちなみに……

スターウォーズのプロローグはTVだと読み上げ形式に変わってた。読むより聞くほうが楽だもんね。

私も今はプロローグを読んでいる。そうすると新たな楽しみが生まれた。

と言っても、この映画に対しての熱量は高くないんだけど(笑)


以上、本日はここまで。


*あくまでも一個人の考えを述べていることをご承知おきください

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