第43話マジェスティックドラゴン

 アナタはアイドルを『人質』にしたことがありますか?……俺はある。

 

 黒鱗竜を倒した俺たちは、そのままユグドラシルの頂上を目指す。

 

 さすがにここまで登ると、少し空気が薄くなってきた気がする。

 気温もちょっと肌寒いくらいに……

 

 道のりはどんどん険しくなっていったが、とうとう俺たちはたどり着いた……『ユグドラシルの頂上』だ。

 「おお……」

 ユグドラシルの頂上で俺たちを待っていたのは、気高く荘厳な、黄金の竜。

 大事そうに、小さな『子竜』を抱えている……

 

 「アンタが尊厳竜……『マジェスティックドラゴン』だな?」

 「ガアアアオオオオオオッ!」

 ビリビリビリ……

 凄まじい雄叫びで、周りの蔦や葉っぱが大きく揺れる……

 まるで『私に近づくな』と言わんばかりだ。

 

 「アンタが俺たちの言葉を話せるのはわかっている、とりあえず話を聞いてくれ」

 「ガガアアアアオオオオオーーーーーン!」

 ビリビリビリビリビリッ!

 取り付く島もない……

 

 「ギガンティックマスター、さすがにこれはどうしようもない…… 冷静になってもらうためにこちらの力を見せよう。

 黒鱗竜の時の連携があれば、マジェスティックドラゴンとも対等に戦える」

 

 俺はみんなを制止しながらも、一人考える……

 「みんな待ってくれ、ここは俺に任せてもらえないか?」

 「マスター、一人で行かれるつもりですか?」

 「ああ、戦えばおそらく、決着がつくまで終わらない……こちらに敵意はないとわかってもらうんだ」

 

 「本当に大丈夫なのかい、ギガンティックマスター?」

 「大丈夫だ、何があってもみんなは絶対に手は出さないでくれ、頼む」

 そう言って俺は自分の装備を解除し、ほぼ無防備でマジェスティックドラゴンの方へ歩き出す。

 

 「マスター、さすがにそれは危険です!」

 「こちらに敵意がないとわかってもらうには、これぐらいしないとダメだ、みんなはそのままで」

 

 「ガウアアアアアアッ!」

 マジェスティックドラゴンの咆哮!……俺は体ごと吹き飛びそうになるが、耐えた。

 「ニンゲンッ!それ以上近づくな!八つ裂きにされたいか!」

 「マジェスティックドラゴン、聞いてくれ!こちらに敵意は無い!」

 「ふざけるな!ニンゲンの言葉など信じられるかっ!」

 

 マジェスティックドラゴンの眼は、戦闘色で真っ赤に染まっている……

 くそ、どうしたら話を聞いてもらえるんだ?

 

 「ニンゲンはいつも優しい言葉で近づき、隙を見せるとすぐ裏切る…… もうその手には乗らん、この子は絶対に渡さんぞ!」

 

 マジェスティックドラゴンの尻尾が伸びて俺に巻き付き、締め上げる!

 「うわああああ!」

 「マスターー!」

 みんなが俺を助けようと前に出る!

 「来るな、来ちゃダメだ……みんなそのまま……」

 「し、しかし……」

 

 「いい度胸だニンゲン……このまま絞め殺してやろう」

 「があああああ!」

 「マスターーーー!」

 「仕方ない、彼を助けるのが最優先だ……みんなでマジェスティックドラゴンを……」

 

 「ダメだ……何があっても絶対に来るなと言ったはずだ! 母親が子供を命がけで守ろうとするのは、当然だ……」

 

 「フン、知った風な口を!何を企んでいるニンゲン!」

 「ぐああああッ!」

 「こ、このままじゃあ……」

 

 その時、俺はマジェスティックドラゴンに締め付けられながらも、一筋の涙を流した。

 「うう……ううぅぅ……」

 

 「お前、泣いている……?体中が痛くて泣いているのか?それとも恐怖で……?」

 マジェスティックドラゴンが訝しげに俺を見ている……

 締め付けられながら泣き出す奴なんて、今までいなかっただろう。

 

 「私の目は、相手の『オーラ』を色で識別することができる……

 普通のニンゲンは、私を倒そうとする戦闘色の『赤』、または恐怖の『黒』がほとんどだ……」

 マジェスティックドラゴンの目の色が、戦闘色の真っ赤から、少しゆるんだ色に変わる……

 

 「だがお前の今のオーラは『青』……青は『悲しみ』の色だ。

 私に捕まり死の直前にいるのに、なぜお前のオーラは悲しみで青いのだ?」

 

 「マジェスティックドラゴン……アンタを見ていたら思い出してしまった、自分の母親の事を。俺の母親はもともと病弱で、俺を産んですぐに死んでしまった」

 

 

 俺には妹と弟がいる。

 俺の母親が死んで、その一年後に親父は再婚、妹と弟とは『異母兄弟』ということになる。

 ものごころつく前に死んでしまったから、俺も母親の事はほとんど覚えてはおらず、写真でしかその面影を見たことは無い。

 

 それから数年後、俺たちは成人した。

 妹と弟は出来が良く、いつも成績などを比較され俺はよく落ち込んでいた……

 だから俺はがむしゃらに働いた……自分の母親のせいで、俺が劣っていると思われたくなかったからだ。

 

 でも結果はこの通り……やる気ばかりが空回りして、周りと馴染めず、やめるしかなかった。

 俺は頑張ることに絶望し、俺は頑張ることをやめた。

 それからも職をいくつか点々として、今に至る……

 

 そういったこともあり、今の新しい母親とも、別に仲が悪いわけじゃないが、なんとなくギクシャクした感じだ。

 情けない……

 今の俺を見たら、母親はなんて言うかな……?

 優しく許してくれるのだろうか?厳しく叱咤激励してくれるのだろうか……?

 

 

 「もし、もし生きていたら、俺の母親も、アンタのように俺の事を命がけで守ってくれたのだろうか……?そんなことを考えたら、勝手に涙が出てきて……」

 

 「母親……」

 マジェスティックドラゴンの眼は、真っ赤から既に通常の目に戻っている……

 落ち着きを取り戻し、冷静になったようだ。

 

 「頼むマジェスティックドラゴン、俺の話を聞いてくれ、どうせ殺すのなら、俺の話を聞いてから殺したって同じだろ?」

 

 「……」

 マジェスティックドラゴンは、俺を捕まえていた尻尾を緩め、俺を解放してくれた。

 「ありがとう、マジェスティックドラゴン」

 

 「まだ信用したわけではありません、我が子に触れようとしたときは容赦なくその首を叩き落とします!」

 「わかった、それでいい」

 とりあえず話を聞いてくれる雰囲気になった……よかった。

 メンバーやサモンロード達もホッとしたようだ……

 

 マジェスティックドラゴンは、子竜を大事そうに抱えながら、俺を見定めるように睨みつける。

 「ギガンティックマスターと言いましたね……

 お前の目的が、私の攻略やこの子を奪うことではないとして、一体何用でここまで来たのですか?」

 

 「俺の目的は、アンタの子供、その『子竜』を救いに来たんだ…… アンタも薄々気付いているはずだ……その子竜には『魂』がない」

 「!!……ッ」

 

 「おいおい、そんなことを言って大丈夫なのか、ギガンティックマスター?」

 サモンロードも焦っている……

 俺にもわかる、言葉一つ間違えれば、速攻で俺の首が飛ぶ。

 

 「……やはり、そうでしたか」

 マジェスティックドラゴンがポツリと話す……どうやら心当たりがあるようだ。

 

 「竜族は生まれて二・三日もすれば、すぐに話すことができるはずなのに……この子はいつまでたっても話すことはおろか、自ら食事すらまともにできていません……」

 

 「それはその子竜の体に『魂』がないからだ……なぜならその子竜の魂は、俺の中にある」

 「!……ッ」

 さすがのマジェスティックドラゴンも、驚きを隠せないようだ。

 

 「それは、真実ですか?一体なぜ?」

 俺は事の顛末をマジェスティックドラゴンに話した。

 

 *****

 

 「そうでしたか、転生前のこの子に、そんなことが……」

 「マジェスティックドラゴン、俺に時間をくれ、必ずその子竜に魂を戻してみせる」

 

 「お前のオーラの色が、悲しみの『青』から、『白』に変わりました……『白』のオーラは『純粋』『浄化』、そして『決意』の現れです。

 どうやら嘘偽りを言っているわけではないようですね」

 

 マジェスティックドラゴンは、いったん子竜を見つめ、そして俺の方を見直した。

 「あなたを信じましょう、ギガンティックマスター」

 「本当か……ありがとうマジェスティックドラゴン」

 「ただし時間は『二時間』まで、そして万が一のため『人質』も置いていってもらいます」

 「『人質』……?」

 

 「それならば私たちが残ります」

 メンバー全員が手を挙げた。

 「私たちはマスターを信じています、もし時間通りに戻らなければ、私たちを殺すなり、食べるなり、好きにして結構です」

 「おいおい、いくらなんでもそれは……」

 

 「そういうことなら、僕たちもその『人質』になろう」

 サモンロード達まで手を挙げた。

 「イヤイヤイヤ、アンタ達は関係ないだろう?わざわざ危険な目に合う必要はない」

 

 サモンロードは少し考えて……

 「正直に言おう、実は僕たちはマジェスティックドラゴンを討伐しにここまで来たんだ」

 「えっ」

 「マジェスティックドラゴン討伐のレアアイテムが欲しくてね…… でもギガンティックマスター、君のさっきの話と、今までの行動で考えが変わったよ」

 「サモンロード……」

 「人質になるのはそのせめてもの罪滅ぼし……僕たちもギガンティックマスター、君を信じている」

 「ありがとう、サモンロード」

 

 

 「ではアナタにこの子を預けます……」

 「ああ、必ず時間までに帰ってくる、待っていてくれ」

 マジェスティックドラゴンは、俺に子竜を預ける。

 俺は魂の無い子竜を抱えて、『オルタナティブドア』を出現させた。

 

 「マスター、お気をつけて」

 「マスター信じていますよ」

 「ギガンティックマスター、頼んだよ」

 「任せておいてくれ、じゃあ行ってくる!」

 ガチャ……バタン

 

 

 ついた先は『名もなき村』。

 「ギガンティックマスターさん!?お久しぶりです!」

 目の前にバグがいた。

 

 「ちょうどよかった、新しいアドバンスドアーツについて聞きたいことが……」

 「悪いバグ、急いでいるからまた今度な!」

 ピューーッ!

 「あ、ちょ……」

 俺は残像を残すがごとく、猛スピードで名もなき村を後にした。

 

 とりあえず目指すは『審判の塔』。

 オルタナティブドアで行けないので、まずはファルセイン大陸北西のこの『名もなき村』が、大陸の南西にある『審判の塔』に一番近い。

 ここからは『滑空属性魔法 エアグラインド』で、一気に審判の塔まで走る。

 

 「行くぜ!」

 シャアアアアーーーー

 『エアリアルエンチャント』もかけてスピードも倍、俺は自分の顔がゆがむほど飛ばした。三十分も走ると……着いた、『審判の塔』だ。

 

 ファルセイン王国が管理しているので、入り口には騎士が警備しているが、俺は友人なので顔パス。子竜を抱えながら、俺は塔の中へ入る。

 

 

 「ンモーーー!」

 一階のミノタウロスが現れた!

 「ギロリッ!」

 俺はミノタウロスを睨みつけた。

 「お前に構っている時間は無いんだよ……どけっ!」

 シュン……

 

 俺にビビッてミノタウロスは隅っこでブルブル震えている…… そのまま二階へ。

 

 二階のボスは『シアンホーク』。

 「ピィーーーー!」

 「ああ?やんのかテメー!?」

 「ピ、ピィィィ……」(泣)

 『シアンホーク』はビビッて小さな小鳥になって飛んでいった。

 ちなみに三階への道の魔粒子の罠は撤去済み。

 

 三階のボスは『ダイヤモンドタートル』だったけど、マキアが倒してからまだ補充されていない……現在サザバード・魔獣島の魔獣園に依頼中だとか。

 なのでスルー。

 ちなみに四階への階段は修復済み。

 

 四階のボスは『キマイラ』。

 「ガルルル……」

 「……お前、俺の相手になるのか、おお?」

 「キュ、キュウゥゥン……」

 キマイラは後ずさり、突っかかって転んだ。

 そのまま審判の塔天辺へ。

 

 久しぶりに来た審判の塔の天辺……

 奥でジャッジメントドラゴンが寝ている。

 俺は近づき、ジャッジメントドラゴンを起こす。

 

 「起きてくれジャッジメントドラゴン」

 「ZZzzz……」

 「ジャッジメントドラゴン、起きてくれって」

 「ZZzzz……」

 「起きろぉーーーーーッ!!」

 「うわぁっ、なんじゃなんじゃ?ビックリした!」

 ジャッジメントドラゴンが飛び起きた。

 

 「寝てるとこすまないジャッジメントドラゴン、俺も急いでいるもんで……」

 「おお、ギガンティックマスターではないか、一体どうしたのじゃ?」

 

 「『神魔』が転生した子竜を連れてきたんだ」

 「おお!?おヌシ、マジェスティックドラゴンに会って来たのか?よく無事じゃったのぉ」

 「無事じゃないよ……色々あってさ、今メンバー達が人質になっているんだ」

 「人質!?」

 「時間までに戻らないと殺されちまう……頼む、転魂術で神魔の『魂』を戻してくれ!」

 「ふむ、本当に色々あったようじゃな……とりあえず急いで戻すとしよう」

 

 俺はジャッジメントドラゴンの前に子竜を座らせ、俺はその後ろに座った。

 ジャッジメントドラゴンが集中すると、子竜と俺の体が光り出す……

 

 「アドバンスドアーツ『転魂術』!」

 

 「おお、おおお?」

 俺と子竜の体が浮かび上がり、俺の体から光の球のようなものが飛び出した!

 「これが、神魔の魂……?」

 赤く光る球……少し暖かい気がする、触ったら壊れそうだ。

 光る球はそのまま子竜の体に吸い込まれていった……

 

 「うむ、成功じゃ」

 子竜はバッタリ倒れたままですけど!?

 「おい、おい、神魔……?」

 俺は子竜を揺すってみた。

 「う~ん、ムニャムニャ……もうちょっと、寝かせてくれ……」

 「寝てんのかよ!」

 

 「転魂術をしたばかりだと、魂が体に慣れるまで少々時間がかかる、そのまま置いておけ」

 ジャッジメントドラゴンが、説明しながら後ろで何かごそごそと……?

 「まあ久しぶりに来たのじゃ、今お茶を淹れるからゆっくり積もる話でも……」

 「悪いジャッジメントドラゴン、急いでいるからこのまま神魔を連れていく、じゃあな!」

 「あ、ちょ……」

 ピューーッ!

 

 「……なんじゃ、冷たいのぉ」

 

 俺は『オルタナティブドア』を使って、とりあえずファルセイン城下町へ。

 「さて、ここまで約一時間……あと一時間で中央島へ着かなくては」

 中央島へはオルタナティブドアでは行けないので、直接行くことになる……

 方法は三つ。

  ①カイエルに行って異世界海保に船で連れて行ってもらう(所要時間約一日)

  ②サザバードに行ってグリフォンに乗せてもらう(所要時間約四時間)

  ③ファルセインから、飛翔魔法で直接飛んでいく(所要時間約一時間)

 

 残り時間からすると③一択だな……よし。

 俺は寝ている神魔を抱え、魔力を集中する……

 俺の前に魔法陣が展開……『風』『風』『光』『闇』

 「タレン・カーレス・グラート

 飛行 飛翔 飛躍 我に自由の翼と 風を切る力を与えよ その身風の如く 天空を翔ける 飛翔属性クアトログラム、『スカイグラインド』!」

 

 俺の背中に光る魔法の翼が生え、ゆっくりと体が空に浮かび上がる。

 これは念動魔法の応用で、自分自身を念動で操る魔法なのだ。

 バシュウゥーーーーン!

 空中に浮かんだ俺は、そのまま猛スピードで中央島へ向けて飛翔していく!

 「うおおおーーー、こえーーー!」

 

 高所恐怖症だった俺は、一生使うことがないだろうと思っていたこの『飛翔属性魔法』…… まさかこのタイミングで活躍するとは思わなかった。

 このスピードで直接中央島へ向かったなら、恐らく一時間かからずに到着できるだろう。

 

 

 しばらく飛翔していたら、見えてきた中央島だ。

 『グレイトワイバーン』の群れが、また群がっている。

 「邪魔だーーーー!」

 俺は神魔を抱えながら、飛翔しながら、魔法を唱える!

 「『ヴァーミリオンレイ』!」

 ドキュキュキュッ!

 

 グレートワイバーンを退け、中央島に着地。

 「ふう……」

 俺は今までのどの乗り物よりも早く、中央島に到着することができた。

 「急いでマジェスティックドラゴンの元へ行かなくては……」

 

 飛翔魔法でマジェスティックドラゴンのいる頂上へ行こうと思ったが、結界が張られているらしく、直接はいけないらしい。

 ここまでで約五十分……あと残り十分くらいだ。

 俺は急いで蔦を登り始める……

 

 蔦を登った先には……いた、ドラゴンだ!

 「ガオオオオウ……」

 「どけどけどけーーー『ギガンティックフレア』!」

 ガガガガッ!

 ドラゴンの群れも退けた。

 

 また登る、そこで俺は驚愕した……

 「マジか……紅鱗竜まで復活しているのか」

 「バオオオオ!」

 俺の目の前には、先ほど全員でやっと倒した紅鱗竜が待ち構えていた!

 

 俺はゆっくりと紅鱗竜に向かって歩きだす……

 「俺はな、メンバーとの約束は……絶対に守る男なんだよーーーー!」

 俺は神魔を抱えながら、右腕のガントレットを構える!

 「『エクスプロードブロウ』ッ!!」

 

 

 ◆神の大樹・ユグドラシル頂上……

 マジェスティックドラゴンと、異世界あいどる24のメンバー、サモンロード達が、座ってギガンティックマスターの帰りを待っている……

 

 「もうすぐ二時間になりますぅ……マスター、間に合うのでしょうか」

 異世界あいどる24のメンバー、アンジュが心配そうに昇りの蔦の先を見つめる。

 「大丈夫よ、アンジュ……マスターは私たちとの約束は絶対に守るわ」

 

 「いえ、おそらく間に合わないでしょう」

 「えっ」

 「時間的にそろそろ『紅鱗竜』『蒼鱗竜』『白鱗竜』『黒鱗竜』が復活しています、二時間でここに到着するのは不可能です」

 「そんな……」

 

 「心配しなくても大丈夫です、間に合わなくてもアナタたちを殺したり食べたりはしません」

 「本当に?……なぜそんなことを?」

 サモンロードという召喚士が、マジェスティックドラゴンに質問する。

 

 「彼の『覚悟』がみたかったのです、

 自分の大切なものを賭けててでも、子竜を助けてくれるのかという……」

 「なるほど……じゃあ彼はもう合格というわけだね?」

 「はい……彼は信頼に値します、彼なら間違いなく子竜を救ってくれるでしょう」

 

 その会話に、異世界あいどる24のアンジュとマキアが割って入る。

 「チッチッチ、マジェスティックドラゴンさん、アナタはうちのマスターのことを甘く見ていますねぇ」

 「そうですね、マスターは私たちとの約束は必ず守ります」

 「?」

 

 「約束の時間まであと二分……ほら、聞こえてきましたよぉ~」

 ドガアアアアン!!

 スガアアアアア!!

 ゴゴゴゴゴゴ……

 「な、なんだこの振動は……?ユグドラシル全体が、揺れている……?」

 マジェスティックドラゴンとサモンロード達が、周りを見渡している。

 

 遠くに聞こえていた声が、だんだん近くなってくる……

 「おおおおおお、『ヘキサゴンフレア』ーーーーー!!」

 バガアアアアアアッ!!

 ドドドドドド……

 

 「ま、まさか……嘘でしょ?」

 サモンロードは信じられないといった顔で、昇りの蔦を凝視する。

 そこにはボロボロになったギガンティックマスターの姿が……

 「マスター!」

 

 「信じられません……たった一人で、しかもこの時間内に、あの四体の竜を倒して来たのですか!?」

 さすがのマジェスティックドラゴンも、驚嘆している……

 

 「へ、へへへ……俺はメンバーとの約束は必ず守る男……

 異世界あいどる24のマスター、舐めるんじゃねぇ……ぞ……」

 バタッ!

 

 ボロボロのギガンティックマスター、体力と魔力切れでその場に倒れる……

 チーン……

 

 

 ☆今回の成果

  俺 飛翔属性クアトログラム 『スカイグラインド』習得

  『神魔』が子竜の姿で復活

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る